寒村自伝(上)(下)岩波文庫
明治、平民新聞、大逆事件から昭和30年の社会党の芦田連立内閣、氏の脱退まで荒畑寒村氏の足跡がそのまま日本の社会主義運動の通史を網羅した内容で面白かった。
赤い箱車を引いて、社会主義文献を売り歩き、平民社の伝道行商をした、昭和初期、官憲のの警戒を逃れながら満州里からロシア国境超えでシベリア鉄道でモスクワまで行きコミンテルン会議に出席し、ジノヴィエフの急の依頼で英語で演説、ブハーリンの善良さ、堺利彦のひょうきん、入獄中妻の管野スガ を幸徳秋水に盗られたが、スガは大逆事件で刑死の直前、氏のノイローゼの病状を気遣いながら死んでいったこと、片山潜、徳田球一、山川均ほか関係者の逸話が満載でした。戦後早々の総選挙、社会党から立候補の街宣で、保守党応援の学童達から「アラカンのバカヤロウ」と叫ばれた場面には笑った。
寒村の足跡が日本の社会主義運動の通史になっており非常に興味を持って読めた。有名な社会主義者がほぼ出てくる。
寒村自伝 上巻 (岩波文庫 青 137-1)
荒畑 寒村
岩波書店
1975-11-17
寒村自伝 下巻 (岩波文庫 青 137-2)
寒村自伝 下巻 (岩波文庫 青 137-2)
荒畑 寒村
岩波書店
1975-12-16
記:2020年05月23日