週刊金曜日112号 1996.3.1目次、国際法から見た日本の戦後補償

2025年9月19日

週刊金曜日112号 1996.3.1目次
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P33 国際法から見た日本の戦後補償
・国際法と従軍慰安婦問題 阿部浩己
戦前の国際法をどのように解釈・適用させるか、日本政府、被害者、法律家のギャップは深く、それがまた問題を長期化させる原因にもなっている。
・頼るべきは国際法 慰安婦問題の場合も、国内法はアテにできない。
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P34 幸いなことに、国際法の世界では「時効」はあまり問題にならない。いったん違反があれば、それを是正する措置が取られない限り、違法状態は半永久的に持続する。
日本の裁判所は、権利の主張を行なう者にきわめて冷淡だ。
慰安婦問題を軟着陸させる最良の手立ては、立法をおいてほかに見当たらない。国会の責務だ。
・クマラスワミ勧告が意味するもの
クマラスワミ氏は、報告書の中で「慰安婦」を「軍による性的奴隷」と位置づけ、日本の国際法違反をはっきりと認めた。具体的には、醜業条約や陸戦の法規慣例、人道に対する罪といった国際法規、人道に対する罪といった国際法規の侵害が認定され、その一方でサンフランシスコ平和条約などによる「免責」の可能性は言下に否定された。
報告書は、日本に対して、国際法違反の責任を認めるとともに、被害者への金銭賠償、情報の全面開示、陳謝、歴史教育の改善、加害者の処罰を行うよう勧告している。また、「女性のためのアジア平和国民基金」については、「法的責任の否定の表われ」と評している。
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国際法と朝鮮人・中国人強制連行・強制労働 空野佳弘
100万人を超える人々を強制的・暴力的に連行し、過酷な労働につかせたことは、人類史上例を見ない大きな戦争犯罪である。「人道に対する罪」
・強制連行、強制労働とは
事故による死傷 北海道の雨竜ダムの建設工事においては転落が相次いだが、救助するどころかその上からコンクリートが流しこまれたことや、九州の唐津炭鉱では鉱内爆発で200人の朝鮮人労働鉱内に残されたまた入り口が封鎖され、後で入り口を開けてみると入り口付近に岩をひっかいて爪のはがれた多くの死体が横たわっていたことが報告されている。
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P38 国際法と捕虜・民間抑留者虐待問題 永野貫太郎
「人道に対する罪」に対する考え方は、サンフランシスコ平和条約よりも、ハーグ条約王やジュネーブ条約の規定が優先されることは、戦後補償問題をとらえる上で重要な争点である。
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P40 国際法とは何か 戸塚悦朗 戦前にはなかった「人権」に関する国際法。
入門書「現代国際法入門」(藤田久一編 法律文化社)
主要な人権条約一覧
憲法98条2項には、条約など国際法を誠実に遵守すべきことが定められている。日本では国際法は国内法よりも優位に立つとさ
れている。国際人権B規約
国際人権法については、「現代国際人権の課題」宮崎繁樹編 三省堂など参照。
・国際法と個人の地位
「戦争であれば何をしてもかまわないのだ」という考え方が一般にある。国際法の下では、この考えは誤りだ。
日本は人権条約の3分の1ほどしか批准していないなどの問題がある。
日本軍「慰安婦」問題は、国連人権委員会、差別防止・少数者保護小委員会、女性の地位に関する委員会などで審議されている。
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P42人権後進国・日本
筆者は、日本が人権に関する国際法を守らない「”人権後進国”だ」と批判したことがある。国際法で保護されているはずの基本的人権に大穴が開いている。たとえば、在日韓国・朝鮮人、被差別部落民、障害者、老人、女性などに対する激しい差別は、先進諸国では考えられないほどひどい。精神障害者、犯罪の被疑者など、拘禁されている人々に保証されている国際的人権規定の保障を実施しない。
旧日本軍の軍人への恩給などは40兆円を超える巨額の支払いをしているのに、日本軍「慰安婦」など日本の国家による戦争犯罪の被害者にはまったく補償を支払っていない。
・どうしたら国際法が守られるようになるか
国連と協議資格のあるNGOの活躍に期待。アムネスティ・インターナショナルや、国際法律家委員会(ICJ)などが著名だ。
人権に関する分野では、啓蒙活動が重要だ。95年1月から「国連人権教育の10年」が始まった。
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