週刊金曜日44号 1994.9.30目次、日本軍の復活ー自衛隊の実態と現状

2025年9月19日

2023.8.30記 憲法9条、改憲問題を考えるのに、安全保障や自衛隊、軍縮の問題も検討しなければならない。関連事項を研究します。

週刊金曜日44号 1994.9.30目次
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P5 国軍化する自衛隊 纐纈 厚
・数字が示す増殖ぶり 
 軍人恩給や海上保安庁の予算もカウントするNATO方式でドル換算すると、93年度の防衛関係予算は約507億ドル。アメリカに次いで世界第二位の水準に達する。
・膨らみ続ける防衛関係費
 伸び率、1975年の21.4%、80年代で5~7%の高い水準。また在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)が過去16年間で40倍にも増額された。現在思いやり予算は全部で5944億円(米兵一人あたり約1720万円)。
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 基地の光熱費も完全負担。駐留費負担の履行義務は、日米安保にも日米地位協定にも全く明記されていない。いまやドイツの3倍、韓国の6.5倍もの駐留費負担の目的はどこにあるのか理解に苦しむ。
 実際には駐留目的は必ずしも日本の防衛にはなく、アメリカの覇権主義からきているにすぎない。ドイツのリューエ国防大臣が「米軍のヨーロッパ駐留は米国のため」と喝破して駐留費負担の増額を拒否した事実を思い知るべきであろう。
・高価な近代兵器で武装を強化
 陸自、最新式の90式戦車1両約11億円、狭い国土に新旧合わせて千台余の戦車がなぜ必要か。
 海自、イージス艦1227億円、4隻配備予定、「こんごう」。航空母艦の護衛用のイージス艦がなぜ必要か。従来の政府公式見解、空母は攻撃用航空機を搭載可能で「専守防衛」から逸脱する。
 空自、E767空中警戒管制機(AWACS)543億円が4機導入決定。 長大な航続距離のAWACSは海外における作戦行動を前提とした装備。FSX、C17大型輸送機、空中給油機。
・世界第二位の武器輸入国 米の軍需産業が潤う。日本の軍需産業が期待するのがミサイル防衛システム(TMD)。
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・新たな軍拡シナリオ誕生
P8自衛隊軍拡を支えてきた国防ナショナリズムが、多様な安全保障論や平和思想の創造の機会を奪い、結局は国家自衛権を直ちに国家武装権と同一視してしまう程度の粗末な安全保障論。
・国軍化の道を急ぐ自衛隊
国軍化への道が、改憲と表裏一体。
現在の焦眉の課題は、「国際貢献」を踏み台に海外派兵の実績を積み上げて国連安保理に常任理事国入りし、軍事参謀委員会国としての国連軍参画により、先ず国際的に”日本国軍”として認知されることだ。
アメリカのアジア・太平洋戦略の変更、日本をも含めた海外基地の削減・縮小が構想されている。日本への救援部隊を指揮する米軍第九司令部(神奈川県座間市)の実質廃止声明が出された。
・着々と進む軍事国家への変容
自主防衛路線への傾斜、自衛隊は国軍としての中核的存在に位置づけ。有事法制の準備、自衛隊法改正。
ソフト面で支えるのが、日の丸・君が代の国旗化・国歌化に象徴される国民の精神・思想の動員・統制の画策だ。
新たな「英霊」づくりを狙う靖国法案や、軍事情報の封印を制度化するスパイ防止法案。「PKO協力法」は、現行憲法に手をつけることなく自衛隊への海外派兵への道を切り開いた。
 以上をストップさせるためには、既存の政党や組合に依拠せず、平和憲法の活性化により自衛隊軍縮・解体のシナリオを大胆に提言する市民の運動が今後一層期待されよう。軍事国家に対置する平和国家や平和社会の構築を展望する平和の論理と思想の問い直し。非武装自衛権の構想や軍事力に依存しない安全保障概念の共有化の作業がいまほど求めらている時はないのである。
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P10 常任理事国入りと有事立法が改憲をもたらす 山田朗
日本が安保理の常任理事国になれば、自衛隊の統合幕僚会議長クラスを軍事参謀委員会のメンバーとして出す。
命令する側になったとき、日本だけが戦闘部隊を出さないでは済まない。「国際貢献」のための派兵も可能にしようと、改憲論も出てくるだろう。

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P12・改憲論のもう一つのバネとしての有事立法ー防衛問題懇談会答申の恐るべき狙い 山口哲夫
・PKOが自衛隊の本務に 国際平和協力法の平和維持軍(PKF)本体業務の凍結規定を早く解除すること、武器使用も検討。自衛隊の本務に国連平和維持活動(PKO)も加えるべきだ。自衛隊がPKFにまで武器を持って参加することは海外での武力行使ににつながり憲法違反。改憲につながることを恐れる。
防衛庁の研究は戦時新法の立案段階へ。有事立法には憲法が邪魔だ、改憲論議へ。
P13・防衛費はかえって増大か
弾道ミサイル対処システム(TMD)は技術的にも困難、開発は行なうべきではない。
ソ連崩壊により世界全体が軍縮に向かっているときに、それに逆行する答申が出され、きわめて問題である。
 冷戦崩壊後の我が国の防衛のあり方、どれだけ踏み込んだ軍縮をすべきかこそ国民的議論をすべき重要課題である。
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P14 幼い命を奪った基地と共生はできないー沖縄から宝珠山発言「基地と共生、共存を」に反論する 新屋敷弥生
・大反発する沖縄県民
・沖縄の苦しみを感じない発言
基地の事件、事故が多発。1959.6.30石川市の宮森小学校に米軍ジェット機が墜落炎上し、児童11人を含む17人が死亡、210人に及ぶ負傷者が出た。
P15後を絶たない基地関連の事件、事故
・あるのは「共死」のみだ
 冷戦構造が崩壊しつつある今日ならなおのこと、「軍事はいらない」という考えが大事。
沖縄戦の内実は、戦闘員を宇和丸非戦闘員の犠牲者数。石原昌家(沖縄国際大教授)は、軍事基地と「共生共存」などあろえない。あるのは「共死」のみである。
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安保・米軍・自衛隊