<陸自情報部隊が「愛国心」など調査か>インテリジェンス強化 民主的な統制への議論が急務,熊日7.22

熊本日日新聞 2026年7月22日 22:30

 陸上自衛隊中央情報隊の対外情報部門「現地情報隊」が、日本人の有識者らを対象に「愛国心」や「対自衛隊感情」といった思想信条や個人情報を、組織的に調査・収集しているとみられることが分かった。国家安全保障上、インテリジェンス(情報活動)に一定の必要性があるとしても、個人の内心にまで踏み込む活動は許されない。政府がインテリジェンス機能の強化を急ぐ今、情報機関を民主的に統制するための議論が急務と言える。

 熊本日日新聞が入手した資料には、極めて私的な個人の情報が、網羅的に記載されていた。東京都立大の木村草太教授は「内心を探ることは思想弾圧につながり得る」と指摘した。

 現地情報隊は本来、自衛隊の派遣先となる海外情報の収集が任務だ。それを離れ、国内で私的情報を収集する活動に安全保障上の必要性は認められない。ましてや、活動内容が防衛相など文民に知らされていないとなれば、シビリアンコントロール(文民統制)を逸脱している恐れもある。

 政府は新たに「国家情報局」を設け、自衛隊などが収集した情報は今後は同局に集約される。国家情報局を事務局とする「国家情報会議」の初会合を今月末にも開き、スパイ活動を防ぐための法整備や、対外情報機関の検討を本格化させる構えだ。

 現地情報隊の元隊員は熊日の取材に「インテリジェンスを突き詰めると、きれいごとでは済まない」と明かした。たとえそうでも、安全保障のための情報活動が国民監視に向かうことがあってはならない。

 大切なのは政治や行政に白紙委任せず、主権者である国民自らが、この国のあるべきインテリジェンスについて議論を尽くすことにほかならない。(植木泰士)