本多勝一 貧困なる精神からのひとこと2

2025年9月18日

週刊金曜日編集部ツイッターより

【タブー】タブーとは、このように権力による暴力によって支えられている末端個人への具体的圧力の側面にほかならない。(略)中国その他のように、反対のプロレタリアによる権力でも、タブーとしては同じことが生ずる。『貧困なる精神第1集』

【映画評論家】”シロウト”諸君。映画評論家の批評など、決して信用してはなるまい。かれらの多く(「すべて」とはいわぬ)は、映画界のさまざまな利権やしがらみの中で、純粋な発言もできなくなった気の毒な種族なのである。『貧困なる精神第12集』

【新聞記者の言語】新聞記者の場合、言語としての日本語は「研究対象」ではなくて「現場の道具」であります。したがってその言語としての性格や構造を知ろうとするとき、問題の中心は「こうなっている」という認識よりも、「それをどう応用できるか」という運用の効果にある。『貧困なる精神第12集』

【ヒグマ】「穴もたず」とよばれるヒグマがある。たいていのヒグマは秋の間にタラフク食って、暖かい穴の中に冬ごもりをするが、タラフク食えなかった不満なやつは、冬にはいってもブラブラしている。雪はふりはじめるし、木の実はなくなるし……『きたぐにの動物たち』

【今西錦司】今西という学者は、自分の学問の後継者を実にうまく育てます。古い言い方をすれば、有能な弟子が多い。が、その育て方は、いわゆる「育てる」ような方法をとりません。つまりハッパはかけない。彼の学問なり人柄なりを追ってついてくる者だけを指導します。『貧困なる精神第0集』

【名刺】肩書と氏名を大書しただけのカンバンみたいな名刺を作る奴らの、本当の心は何か。それは実に簡単だ。威張りたいだけ。「どうだ、エレエだろう、ざまあみろ」という言葉を印刷したようなものと思えばよい。『貧困なる精神第0集』

【高級官僚の名詞】一番腹の立つのは、いわゆる高級官僚に類する人々の名刺だ。たとえば「在サイゴン特命全権大使 高橋賀博」という巨大な活字の名刺。肩書と氏名のふたつだけ。こういうことなら、最初から名刺など作らなければよいのだ。これくらいは会う前からわかっている。『貧困なる精神第0集』

【車内販売】東海道新幹線に乗る。車内販売の娘が手押し車とともにやってくる。(略)何とうるさいことか。(略)少なくとも、来るたびに大声で宣伝する必要があるだろうか。見ればわかる。騒音で充満する世の中だ。せめて旅行くらい静かにさせてくれよ。黙って通れ。『貧困なる精神第0集』

【ジャーナリズムの堕落】ジャーナリズムの堕落や退廃は、事実の無視あるいは意図的歪曲からまず始まる。戦争中の「大本営発表」新聞時代を考えるまでもなく、こんなことは今さら強調するもおろかであろう。事実がわからなくて、どうして正確な判断が下せようか。『貧困なる精神第12集』

【高級酒】ケチな精神で、他人に酒をすすめるぐらいなら、高級酒など最初からかくしておけばいいのだ。自分だけで飲めばいい。仰々しく酒棚に飾っておくな。でなければ、出す以上は、安酒と全く同様、あびるほど浪費せよ。「これは今夜全部カラにしないと困る」と言え。『貧困なる精神第0集』