週刊金曜日147号 1996.11.15 目次、「自由主義史観」という名の「自画自賛史観」3
P5「慰安婦」に米国人もいたとの報告 アメリカ人女性も旧日本軍「慰安婦」被害者であり、グアムに被害者が存在するとの、現地調査の報告が注目された。すでに連合国によるB・C級グアム軍事裁判でこの事件が「戦争犯罪」として処罰されており、日本はサンフランシスコ条約で裁判結果を受諾している。(朝鮮人強制連行真相調査団 洪祥進)

P12 「自由主義史観」という名の「自画自賛史観」3完
歴史を逆流させる者たち 歴史教育の「抽象化」の隙間に入り込む自由主義史観 山田朗
・教育の抽象化にくい込んできた藤岡氏
・日本人だけが元気が出ればよいのか
藤岡氏の歴史認識の方法そのものが、パワーポリティクスの全面肯定、「司馬史観」に依拠すれば当然であるが・・。近代日本国家の膨張志向とその国家戦略化について、「自衛」という観点、すなわち国家指導層の主観と国民への喧伝の論理から見ていくということ。
P14 注)「自由主義史観」の基礎になっている「司馬史観」と戦略的リアリズムにつていては、山田朗「自由主義史観における<国家戦略と戦争>認識の問題点」を参照。
自由主義史観が生まれる背景 石山久男
藤岡氏らの歴史観の変化を受け入れる受け皿ー日本の戦争責任が明らかにされてこなかったということ。
・底流にある戦争責任免罪 敗戦前後、日本の支配層の最大目標は「国体護持」すなわち天皇制を守ることにおかれていた。天皇制を守るためには、なによりも天皇の戦争責任を免罪することが必要であった。1945.11幣原内閣が閣議決定した「戦争責任等に関する件」、植民地支配の問題には一言もふれておらず、植民地支配の責任はまったく意識さえされていなかったことも特徴である。
・「日本=大国」論者の苛立ち
・教育現場に出始めた影響
教科書検定、両論併記で事実を歪める記述の側への接近を強制される。
東郷平八郎、日本近代の戦争を無批判に扱う授業には機敏に批判を加える必要があろう。
P16盧溝橋事件の経過 安井三吉
P17「南京大虐殺30万のウソ」の論理とトリック 笠原十九司
藤岡氏最大のトリックは、南京事件の舞台を最初から南京城壁内に限定していること。集団虐殺がもっとも激しく行われた城外区が除外、南京戦さなかの残虐事件も除外される仕組みになっている。
戦闘とは関係ない婦女子に対する凌辱行為は突出していた。数万の女性が強姦・輪姦された、藤岡氏が数のことだけを問題にするのは、事件内容の質的残虐さから国民の目をそらそうというトリックなのである。
私が現在の研究段階からいえるのは、南京事件の全体状況からすれば、十数万以上、それも20万人に近いかそれ以上の中国軍民が犠牲になったと推定できる(※)。
※笠原十九司著「南京難民区の百日」岩波書店、同「アジアの中の日本軍」大月書店、同「南京事件」歴史学研究会、「講座世界史8戦争と民衆」東京大学出版会、同「南京防衛戦と中国軍」、洞富雄ほか編「南京大虐殺の研究」晩聲社
藤岡氏「従軍慰安婦」論の虚実 吉見義明
藤岡信勝氏は、新しい中学校の教科書から「従軍慰安婦」の記述を削除するよう要求している。
・「従軍慰安婦」という用語 当時存在しなかった用語を使うなとすれば、歴史は書けなくなる。「鎖国」は使うなというのか。
「従軍慰安婦」という用語に問題があることはすでに何度も指摘されている、本質からいうと「日本軍性奴隷」だが・・。
P19 ・強制はなかったか 最も大きな問題は軍慰安所で強制があったかどうかだ。公娼には認められていた「止めて帰る自由」などは保証されていなかった。慰安所制度は公娼制よりひどいものだった。当時の国際法が禁じている21歳未満の未成年者を使役していたことも重要だ。この場合本人が同意していても違法だからだ。
P20埼玉県教委「参観させるな」文書問題 遠藤光司
・731部隊展in春日部 埼玉県立庄和高校地歴部では、ここ3年間、地域のネスミ生産と旧日本軍細菌戦部隊の関連を調査している。
・埼玉県教委の「留意事項」
教科書の731部隊に関する記述の採用状況からみて、小中学校児童生徒に対しては発達段階を考慮し、学校への参観の働きかけを行わないこと」という留意事項がついてきた。今年の2月に、731部隊の記述は中学教書検定を通っている。
・小中学生のアンケートから
県教委の制約にもかかわらず、部隊展には1000名の小中学生が訪れた。アンケートでは、731部隊のショック以上に、それを隠そうとする政府の姿勢にショックを受けている。加害責任を教える教育を「自虐史観」と呼ぶ人たちがいるが、小中学生はむしろ「真実を教えない日本」に恥ずかしさを感じている。県教委の背景は「自由主義史観」の主張が意識されているように感じている。 歴史修正主義




ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません