国民投票法案の動き2007.4.12,新聞社説

2025年9月29日

とうとう改憲手続き法が衆議院今日通過になってしまう。新聞社説を読むと各紙の性格がよくわかる。(ほぼ主要紙掲載させていただきます)
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070412-00000117-mai-pol
<国民投票法案>衆院特委で可決 今国会成立ほぼ確実に4月12日21時22分配信 毎日新聞
 衆院憲法調査特別委員会は12日、国民投票法案の与党修正案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。民主党が提出した修正案は、与党案の採決に反対した野党が委員長席に詰め寄る混乱の中、賛成者が確認できないまま否決された。与党は13日の衆院本会議で与党案を可決し、16日から参院で審議を進める方針。同法案が今国会中に成立することはほぼ確実となった。
 同法案は憲法改正に必要な国民投票の手順を定めるもので、成立すれば、1947年の現行憲法施行以来、初めて憲法改正の具体的な手続きが法的に確立される。
 委員会で野党側は「審議時間が不十分だ」などとして採決を行うことに反対したが、中山太郎委員長は討論の時間が終了したことを宣言し、採決に踏み切った。
 民主党は同党修正案の否決を受け、党憲法調査会で13日の衆院本会議で与党修正案に反対することを決めた。
 一方、自民、公明両党の国対幹部は国会内で会談し、13日に衆院本会議で採決する方針を改めて確認。衆院通過後、16日に参院本会議と参院憲法調査特別委員会で与党修正案の趣旨説明を行い、審議入りさせる構えで、5月3日の憲法記念日までの成立を目指す。
 同法案は、(1)投票権者は18歳以上で、公選法や民法の改正により選挙権年齢や成人年齢が引き下げられるまでは20歳以上(2)賛成・反対票を合計した有効投票総数の過半数の賛成で成立(3)法案成立後3年間は衆参両院に設置する「憲法審査会」で憲法改正の審査・提出は行わない(4)憲法改正案は関連する項目ごとに区分して行う――などが柱。
 同法案は昨年5月、自公両党と民主党がそれぞれ独自の議員立法として衆院に提出。その後、同年12月まで3党の共同修正を目指し協議していたが、今年3月に自公両党が単独で修正案を提出し、今月には民主党が別の修正案を提出。国民投票の範囲を憲法改正に限ると主張した与党側に対し、民主党は範囲の拡大を要求し、一致しなかった。【衛藤達生、山田夢留】

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070412it12.htm(2007年4月12日21時4分 読売新聞
国民投票法案が今国会成立へ、衆院特別委で与党案可決
 衆院憲法調査特別委員会は12日夕、憲法改正の手続きを定める国民投票法案について、与党と民主党がそれぞれ提出した修正案の採決を行い、自民、公明両党の賛成多数で与党案を可決した。
 与党は13日の衆院本会議で与党案を可決し、参院に送付する予定で、同法案の今国会での成立は確実となった。憲法は96条に憲法改正条項を設けているが、国民投票の方法など改正の具体的な手続きを定める法律はない。国民投票法案が成立・施行されれば、1947年の憲法施行から約60年間放置されてきた改正手続きの不備がようやく解消される。
 衆院憲法調査特別委は12日、与党と民主党の両修正案の質疑を行った。与党は同日夕、まず民主党案を採決して否決。その後、与党案の採決に踏み切った。民主、共産、社民の野党3党は中山太郎委員長(自民)に詰め寄り、採決に抗議した。
 国民投票法案を今国会の最重要法案に位置づける安倍首相は同日夕、「相当長い議論をしてきた結果、いよいよ採決するときが来たのだろう」と記者団に語った。
 与党は、法案が13日に衆院を通過すれば、16日の参院本会議で与党案の趣旨説明と質疑を行い、遅くとも、5月下旬までに成立させたい考えだ。自民党の青木参院議員会長、公明党の草川昭三参院議員会長ら与党の参院幹部は12日、国会内で会談し、5月3日の憲法記念日までの成立を目指して精力的に審議する方針を確認した。
 民主党は参院で独自の法案を改めて提出し、慎重審議を求めていく構えだ。
 国民投票法案は昨年5月に与党と民主党がそれぞれ国会に提出した。与党と民主党は修正協議を進めたが、国民投票の対象などで合意できず、今年3月に与党が、4月に民主党がそれぞれの修正案を提出した。
 与党修正案は、国民投票の対象を憲法改正に限定し、投票権年齢については原則18歳以上(当面は20歳以上)と明記した。これに伴い、法施行(3年後)までに選挙権年齢や成人年齢の18歳への引き下げを検討すると付則で定めている。
 これに対し、民主党修正案は、法施行時に投票権年齢を18歳以上とする一方、国民投票の対象についても、憲法改正だけではなく、統治機構や生命倫理に関する問題などにまで広げていた。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070412AT3S1201L12042007.html国民投票法案、与党修正案を可決・衆院特別委 憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案が12日夕の衆院憲法調査特別委員会で、自民、公明両党の賛成多数で可決された。13日の衆院本会議で可決、参院に送付される見通し。与党は週明けにも参院で審議入りしたい考えで、今国会での成立は確実な情勢となった。民主党の修正案は否決された。
 在日米軍の基地移転に協力する自治体への新型交付金を創設する在日米軍再編特別措置法案も12日夜の衆院安全保障委員会で可決された。13日に衆院通過の見通しで、与党は月内成立を目指す。
 国民投票法案の与党修正案では投票テーマは憲法改正に限り、改憲対象となりうる事柄で国民の声を問う予備的国民投票は付則で検討課題と位置付けた。投票できる年齢は18歳以上。公職選挙法、民法の改正で選挙権年齢や成人年齢を18歳以上に引き下げるまでは20歳以上とする。
 公務員や教職員の地位を利用した投票呼びかけ禁止、改憲案の提出・審議は法律公布から3年間凍結、テレビCMなど有料広告は投票日前14日間は禁止などの条項も盛り込んだ。(日経21:02)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070412-00000202-jij-pol
造反対策に全力=補選への影響を懸念-国民投票法案で民主
4月12日21時2分配信 時事通信
 民主党は国民投票法案が採決される13日の衆院本会議で、造反議員が出ないよう全力を挙げる方針だ。独自の修正案を提出したことで、与党修正案に反対する大義名分はできたものの、保守系議員を中心に法案の必要性を認める議員も多い。仮に造反者が出れば、党のまとまりのなさを改めて印象付け、参院福島、沖縄両補選にもマイナスになりかねないだけに、執行部は神経をとがらせている。 

http://news.tbs.co.jp/top_news/top_news3538987.html国民投票法案、衆院特別委で可決
 衆議院の憲法調査特別委員会では与党案と民主党案、それぞれの質疑が行われましたが、野党側が採決阻止に向け抵抗する中、委員長が質疑を打ち切って採決を行い、民主党案が否決されたあと、与党案が自民、公明の賛成多数で可決されました。
 法案をめぐっては、これまで自民・民主の間で一本化に向けた調整が行われてきましたが、結局まとまらないままでの採決となりました。
 「国民が、これで国民の手に主権が確立されるという観点から、私はこれで正しかったと思っています」(衆院憲法特別委、中山太郎委員長)「言語道断ですね。怒り心頭ですよ。安倍総理の号令がかかってからのこの委員会の異常事態、私は安倍政権の鷹のつめだけでなく、角も牙も出てきた、と」(社民党、辻元清美衆院議員)「今回の手続法で強行採決されたことが、何らかの汚点として残るんじゃないかと」(民主党、鳩山由紀夫幹事長)
 法案は13日に衆議院を通過する見通しで、この国会での成立は確実な情勢となりました。
(TBS12日20:20)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007041290194907.html国民投票法案を可決 衆院特別委、野党は反発2007年4月12日 19時55分東京新聞
 衆院憲法調査特別委員会は12日夕、憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案と国会法改正案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。野党側は「審議不十分」として採決に反対したが、与党側が押し切った。
 与党は13日午後の衆院本会議で可決し、参院に送付する方針。与党が最重要法案の一つと位置付ける国民投票法案は今国会成立が確実となった。
 与党修正案は(1)国民投票の対象を憲法改正に限定(2)投票権者は18歳以上(当面は20歳以上)(3)両院に憲法審査会を設置するが、公布から3年間は憲法改正案を提出、審査しない―などが柱。
 12日の特別委では、民主党が10日に国会提出した修正案の趣旨説明を行った後、各党が質疑を行った。与党側は「審議は尽くされた」として採決を提案したが、野党側は「安倍晋三首相の改憲スケジュールに沿って拙速に進めている」などと強く反発。野党各党の議員が委員室に詰め掛けて抗議する中、民主党案を否決し与党案を可決した。
 与党と民主党は昨年5月にそれぞれ法案を提出、これまで双方の特別委理事が共同修正を目指し協議を続けてきた。しかし、5月3日までの成立を目指すとした首相に民主党が反発、夏の参院選への思惑もあり修正協議は難航。与党と民主党がそれぞれ修正案を提出する展開になった。
 特別委の自民党理事は円満な採決に向け、民主党案に歩み寄る形での修正案一本化を目指したが、調整は12日朝、不調に終わった。
 ◆国民投票法案骨子
 一、憲法改正の国民投票に限定。憲法改正を要する問題などの国民投票は中長期的な検討課題
 一、投票権者は18歳以上。公職選挙法、民法など関連法令の規定に必要な措置を講じるまでは20歳以上
 一、白票等は無効とし投票総数に算入せず。賛成が投票総数の2分の1を超えた場合は承認
 一、選管職員ら特定公務員の国民投票運動は禁止。公務員や教育者が地位などを利用し運動することはできない。ただし罰則は設けず
 一、テレビ等の有料意見広告は投票期日前2週間は禁止
 一、施行は公布から3年後、憲法審査会は施行まで改憲案の審査は行わない(共同)

http://www.asahi.com/national/update/0412/SEB200704120003.html
「九条の会」が全国で急増、国民投票法案で危機感高まり
2007年04月12日19時10分朝日新聞
 憲法9条を守ろうと訴える市民団体「九条の会」の結成が全国で相次いでいる。この1年で1.5倍に急増し、6千団体を超えた。国民投票法案が12日に衆院特別委で可決されるなど改憲への道筋が整えられつつある状況に、護憲派が危機感を強めているからだ。ただ、共感の輪が若い世代に広がらず、焦りも募らせている。
護憲を訴える手だてを話し合う「九条の会」の会員たち=10日夜、福岡市中央区で 「投票法案の問題点を説明する資料を用意しよう」「チラシを配って9条の危機をPRしないと」。
10日夜、福岡市中央区の公民館に同区や城南区の「九条の会」世話人ら13人が集まった。28日に合同で開く集会の打ち合わせだった。
 「九条の会」は、作家の大江健三郎さんらが「9条があるから平和的外交ができる。護憲の一点で手をつなごう」と呼びかけ、04年に東京で結成された。これに賛同して地域や職場単位での設立が相次ぎ、事務局(東京都千代田区)によると今年1月現在で6020団体。前年同期に比べて約2000団体増えた。
 集会の実行委員の一人、城南区の伊藤正彦さん(71)は昨年12月、地元の小学校区で「田島九条の会」(約40人)を結成した。もともと城南区単位の会に参加していたが、「改憲の流れを止めるには、もっと草の根の活動で護憲意識を高めるしかない」と考えた。
 9歳の初夏、門司市(現北九州市)で体験した空襲が忘れられない。自宅のある高台から見た夜の市街地は焼夷弾(しょういだん)の炎で真っ赤だった。「改憲はあの空襲の再現につながる」と思う。
 新聞の切り抜きや戦争体験者の話を題材に、月1回ほど勉強会を開く。最近の関心事は国民投票法案の行方。「成立は許されない」と言う一方、「国民投票で改憲を否決するには、全小学校区に会を作るくらいの勢いが必要」と先も見据える。ただ、若い世代を引きつけられないのが悩みだ。20代の会員はゼロ。30代も数人しかいない。
 中央区で「九条の会」の世話人をする酒井嘉子・九州大名誉教授(67)は勉強会の案内チラシを九大生に配っているが、学生の参加はまれ。「一度話せば9条の大切さを理解してくれると思うが、その機会がつかめない」とため息をつく。
 他県も同様だ。「みやざき九条の会」(宮崎市)事務局長の木下統(おさむ)・宮崎大助教(38)は、講義で憲法に触れても、学生から質問や意見が返ってきたことがないという。「意識の高い若者を探すことが先決だ」 「平和憲法を守る会・大分」(大分市)は12月の集会の中でロックコンサートを開くことも考えている。事務局を務める古田邦夫弁護士(54)は「若者は理屈から入っても難しい。興味をそそる企画を考えないとだめだ」と話す。

http://www.asahi.com/politics/update/0412/TKY200704120244.html国民投票法案、与党単独で委員会採決 13日に衆院通過2007年04月12日18時41分朝日新聞
 憲法改正の手続きを定める国民投票法案の与党修正案が12日、衆院憲法調査特別委員会で自民、公明両党の賛成多数で可決された。民主党を含め野党が委員長席に詰め寄って激しく抗議する場面もあった。13日の衆院本会議で可決され、与党は来週にも参院審議に入る方針だ。
強行採決に対し、委員長席に詰め寄る野党委員(手前)と、後方で賛成のため起立する与党委員=12日午後6時3分、国会内で委員会では、中山太郎委員長(自民)が「話し合いは終わった。これから採決したい。これは委員長職権でやっている」と述べ、民主党修正案を否決、与党修正案を与党単独で可決した。
 与党修正案は(1)国民投票のテーマを憲法改正に限定(2)投票年齢は18歳以上(3)国家公務員法などによる公務員への「政治的行為の制限」を原則適用(4)公務員と教育者の「地位を利用」した運動を禁止――などが柱だ。

http://www.sankei.co.jp/seiji/seisaku/070412/ssk070412001.htm
(2007/04/12 18:27産経新聞)
国民投票法案、与党修正案を可決 衆院委員会
衆院憲法調査特別委員会は12日、憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党、民主党の両修正案を採決し、自民、公明両党の賛成多数で与党修正案を可決した。民主党修正案は否決された。与党案は13日の衆院本会議で可決、参院へ送付される運びだ。これにより、国民投票法案の今国会成立は確実となった。
 与党は憲法記念日(5月3日)前の成立を目指し、参院での審議を急ぐ。昭和22年の憲法施行から60年目となる今年、憲法96条に基づいて国民が主権の行使に直接参加できる唯一の機会である国民投票の制度が、ようやく整う。ただ、同法の施行は3年間凍結されることから、初の国民投票が実現するのは早くても平成23年以降になる。
 この日は野党も出席して質疑を行った後、与党側が「審議は尽くされた」として採決を提案。野党側は強く反発し、中山太郎委員長に抗議する中、採決が行われた。中山委員長は採決後、記者団に対し「混乱の中での採決は残念だったが、国民の手に主権が確立される観点から正しかった。それを実現したことに誇りを持っている」と述べた。
 自民党は12年1月に衆院憲法調査会の発足以降、改憲案の発議に必要な3分の2以上の勢力形成が必要だという判断から、自公民3党による「協調路線」を重視してきた。自民、民主両党の特別委理事は12日午前も修正案の一本化交渉を続けた。ただ、民主党執行部は「わが党の修正点をすべて自民党が飲まない限り、妥協はない」と強硬姿勢を崩さず、自民党執行部も「民主党は政治的理由で小沢一郎代表が妥協を認めていないのではないか。審議引き延ばし策だ」として、修正協議を打ち切った。

http://www5.sdp.or.jp/central/timebeing07/danwa041201.html2007年4月12日
憲法調査特別委員会における「憲法国民投票法案」採決強行に抗議する(談話)
社会民主党幹事長又市征治
 本日、衆議院憲法調査特別委員会は、野党の強い反対にもかかわらず委員長職権で委員会を開会し、「憲法改正国民投票法案」の採決を強行した。憲法に係わる重大な問題で、野党の強い反対を押し切り、問答無用とばかりに採決を強行することは、議会制民主主義にとっての歴史的汚点であり、怒りを込めて抗議する。
 国民投票法案は、この間の審議によって法案の問題点や矛盾点が次々と明らかになり、与党と民主党がそれぞれ修正案を提出したばかりである。修正案をめぐる十分な審議もないまま、採決を強行したことは、与党には十分な議論を行なって国民合意を得ようとする姿勢が微塵もないことを示している。
 安倍内閣・与党はいよいよ反動政権の本質、タカ派の地金をむき出しにして、「憲法改正国民投票法案」を成立させ憲法改正の手続をすすめようとしている。憲法尊重擁護義務をかなぐり捨て、改憲攻撃を仕掛けている自公与党の暴挙を断じて許すことはできない。社民党は、日本国憲法の理念を守り、広範な市民と堅く絆を結んで、国民投票法案の成立阻止に向けて全力を挙げる。以上

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200704120059.html国民投票法案強行採決に反対 各地の市民団体など
2007年04月12日朝日
 憲法改正手続きを定める国民投票法案が12日、衆院憲法調査特別委員会で可決された。「なぜこんなに急ぐのか」。各地の市民や護憲派の団体から強行採決を非難する声が上がった。13日には衆院本会議での採決が見込まれている。
 神戸市中央区のJR神戸駅前では12日夕、「兵庫県弁護士9条の会」のメンバーら約10人が「民意を反映しない不公正・違憲なカラクリ法案」などと国民投票法案に反対するチラシ約2千枚を通行人に配った。 参加した松山秀樹弁護士(48)は「国民投票法案の成立は平和憲法の改悪につながる。国民の間でも議論されていない点が問題だ」と話した。 各地の学生や弁護士らでつくる「国民のための国民投票法を考える会」(事務局・東京)は、3月末~4月初めの2週間、全国30カ所で街頭アンケートをした。総回答者1789人中、「審議が尽くされた」と答えた人はわずか4%。多くの人は法案の内容を理解していなかった。 同会メンバーの弁護士は13日、大阪市役所前から淀屋橋付近で、強行採決反対を訴えるチラシを配る。 被爆地・広島や戦争を知る世代にも心配の声が上がっている。
 広島県原爆被害者団体協議会の坪井直理事長(81)は「9条をつつくならば被爆者として断固反対する」と話す。与党修正案では、投票率が低くても有効投票総数の過半数の賛成があれば憲法が改正できる。「いつか来た道に戻りはしないか不安だ」と訴える。原水爆禁止広島県協議会(広島県原水禁)は13日昼、「審議のやり直しを求める」として広島市の原爆ドーム前で抗議の座り込みをする予定だ。沖縄出身で、戦時中は大津市内の軍需工場で「人間魚雷」を作っていた兵庫県尼崎市の宮城正雄さん(80)は「衆議院に戦争の生き残りがほとんどいなくなったと思っていた矢先、戦争の足音が近づく気配がし始めた」と案じている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070412-00000218-mailo-l35国民投票法案:廃案求め、山口でデモ /山口4月12日15時0分配信 毎日新聞
 憲法改正手続きを定めた国民投票法案の廃案を求め、山口市の市民団体が11日、市中心部で反対のデモ行進をした。地元の労働組合などを中心に約50人が参加した。主催者の一つで「平和・民主・革新の日本を目指す山口市の会」の大田智美・代表世話人は「法案が13日にも強硬突破されようとしている。市民に断固阻止をアピールしよう」と呼びかけた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070411-00000114-mai-pol<国民投票法案>憲法学者ら114人が慎重審議求める声明4月11日21時16分配信 毎日新聞
 憲法改正手続きを定めた与党と民主党の各国民投票法案に対し、憲法を専門とする学者ら114人が11日、「自由で民主主義的な意思の表明を保障する憲法改正手続きの制度とは言えない」として、慎重審議を求める緊急声明を発表。河野洋平衆院議長、中山太郎・衆院憲法調査特別委員長に送付した。

http://web.mac.com/volksabstimmung/iWeb/Welcome/EED66D6F-C191-454E-B774-17FB9BD8CB94.html『神戸新聞』社説 2007年4月11日
国民投票法案/採決に走るときではない
国民投票法案をめぐる与野党の攻防が山場を迎えつつある。自民、公明両党が与党修正案を週内に衆院通過させる構えを見せているのに対し、民主党は十日、独自の修正案を国会に提出した。
七月の参院選もにらんだ動きだろうが、ここは与党に慎重な対応が求められる。野党側から修正案が示される中、強引な採決は行うべきではない。
この法案には、憲法改正の具体的な手続きが盛り込まれる。国の根幹にかかわる重要な法律であり、本来、党派の思惑などから離れて論議すべきものだろう。政局に左右されるようなことは好ましくない。 与党と民主が協議を重ね、昨年末に投票年齢などで実務者間の合意に至った経緯の中では、そうした配慮がうかがえた。
ところが、安倍首相が年頭会見で「私の内閣で憲法改正をめざしたいということは当然、参院選でも訴える」と述べたあたりから、流れが変わった。首相は、今国会で国民投票法案の早期成立を図るよう指示している。夏の政治決戦に向け、「戦後レジーム(体制)からの脱却」を示す実績を上げたいということだろう。
最近では、与党と民主の攻防は、法案の内容より党利党略の方が先に立っている感がある。これでは、あるべき姿から遠い状況といわざるを得ない。 衆院採決をめざす与党は、審議は尽くしたという。しかし、問題は費やした時間数ではあるまい。肝心なのは、国民の考えが正しく反映する、公平・公正な制度設計ができているかどうかである。
民主は修正案で、投票の対象として憲法改正に加えて「統治機構」や「生命倫理」などを列挙した。先の衆院憲法調査特別委の中央公聴会では、最低投票率の導入などが公述人から示された。法案に反対する共産、社民両党の意向なども含め、なお検討すべき課題は残っている。
国民の理解が十分に深まったとも思えない。法案そのものには賛成するが、今国会での成立にこだわる必要はない-こんな回答が七割近かった共同通信社の最近の調査でも、それがうかがえる。
国民に開かれた形で、さらに論議を深めるという意味では、党首討論で取り上げてもいい。「国家基本政策委員会」という名称にふさわしいテーマだろう。先日、与党が十八日に党首討論を開くよう提案している。よい機会だ。野党側は受けて立ち、堂々と意見を戦わせたらどうか。 いずれにせよ、拙速に事を進める姿勢だけは避けなければならない。

『北海道新聞』社説 2007年4月11日
国民投票法案*欠陥は解消されてない
「単に手続きを定める中立的な法案」という言い方は、もう通用しなくなっているのではないか。
自民、公明両党は先月末に、改憲への民意を問うための国民投票法案の与党修正案を提出した。それから半月ばかりで、十三日には修正案の衆院通過を与党単独でも図る構えだ。
民主党も独自修正案を提出したが、与党修正案は、民主党の主張を大幅に取り込む形で強引に決着を狙う。
議論を尽くすより、とにかく成立させステップを次に進めようとする、本末転倒の展開と言わざるを得ない。
これだけ性急に事を運ぶのは、安倍晋三首相が自衛隊を「自衛軍」として明確に位置づける自民党の新憲法草案を念頭に、夏の参院選の争点に改憲を据えているからだろう。
そのための一歩として、法案はすでに具体的改憲日程と結びついている。 世論が今国会で優先課題としているのは、年金、医療、福祉などであり、それを後回しにした「安倍カラー」の改憲手続き法案ではない。首相の選択は、国民から遊離した唯我独尊とも言える。
法案をめぐってはこれまで、与党案と民主党案の調整の行方ばかりが取りざたされてきたが、問題は駆け引きや妥協の成否ではない。
肝心なのは中身だ。基本に立ち戻って、あらためて考えたい。
例えば極めて大きな問題として、両案とも一定の投票率に達しない場合に投票を無効とする「最低投票率」を定めようとしていない点がある。 改憲という、国の形を変える大切な決定は、国民的な関心の高まりがあって初めて実現されるべきことだ。
だから、改憲の発議にも衆参各議院の総議員の三分の二以上の賛成を必要とし、さらに国民の直接の承認を得るという厳しい要件が定められている。 しかし両案は、いくら投票率が低くてもいい。仮に投票率50%なら、その過半数である投票権者の四人に一人の賛成で、いとも簡単に改憲が実現する仕組みだ。決して公正な手続きと言えず、国民意思
の軽視にほかならない。
それは、自由な国民投票運動を教員や一般公務員に対しても制限しようとする与党案の発想にも表れている。
まして国会は説明努力を十分果たしてきたとは言い難い。このため法案への国民理解は現段階でまだまだ低いとみられるのに、それに構わず政党間の議論だけで突き進もうとしている。
公正性を疑わせる規定はこれだけではない。このまま採決を強行しても、国民の納得は得られず、国会と世論との意識のずれはさらに広がることになるだろう。 国の基本である憲法の改定が、欠陥をはらむ手続き法に左右されることがあってはならない。

『佐賀新聞』論説 2007年4月11日
国民投票法案 このままでは通せない

憲法を改正する手続きを定めるため、新たにつくる「国民投票法」案で、自民党は今週13日にも衆院本会議で採決する構えだ。審議は大詰めを迎えた。しかし、改正に必要な投票の「過半数」定義で疑問が消えないなど問題を積み残したままだ。
改憲手続きで憲法96条には「各議院の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票でその過半数の賛成を必要とする」とある。つまり、過半数の賛成が得られるかどうかが、憲法を変えるためには必ず求められる条件だ。だが、いずれの過半数かは書かれていない。つまり分母部分は何なのかという問題である。
与党修正案では「白票は無効票とし、有効投票総数の過半数の賛成で成立」することになっている。
ここでは「有権者の過半数」とすることや「無効票を含めた投票総数の過半数」とすることもあり得た。改正のためのハードルとしては最も低い方法が選ばれたわけだ。法案には最低投票率の規定がない。このため仮に投票率が50%だった場合、全投票権者の半数の過半数、つまり4分の1の賛成で憲法が改正される。これは白票がゼロとしての場合で、白票は無効票なのだから、もっと少ない賛成で改正に至る。
憲法改正は高度な判断力が必要で、「分からない」「どちらとも決めかねる」という白票も当然多いことが予想される。だが現状では白票の扱いや、最低投票率規定はいらないのかなど、納得いく論議にはなっていない。 与党修正案はまた「公務員、教育者の地位利用による国民投票運動の禁止」については、原案にあった罰則をなくした。だからといって問題が解決したわけではない。
確かに国家公務員法や地方公務員法は政治的行為の制限を定めている。しかし、憲法をどのようにするかは国家の基本法に関することであり、公務員だろうが、主権者として意見表明を広く保障するということが原則であるべきだと思う。
5日に開かれた中央公聴会でも国民投票運動を公務員や教職員が制限されている「政治的行為」の対象にするかどうかに関して、対象とすべきでないとの意見が相次いだ。
それは「主権者としての運動は原則自由であるべきだ」「職務時間以外は一般の国民だ」などというものだった。
また「地位利用」とは、何を指すのかが不明確なため、自主規制へとつながると危惧(きぐ)する声がある。公務員の運動禁止条項は外されてしかるべきではないか。
自民党は12日に衆院憲法調査特別委員会で与党修正案を採決、13日の衆院本会議で可決、参院に送付し、今国会中の成立を目指している。 安倍晋三首相は、在任中に憲法改正を実現すると公言、施政方針演説でも、「国民投票法案の今国会での成立を強く期待する」と述べており、今国会中に成立する見方が強い。
これまでの法案論議は、当初の与党案から新聞などの報道をめぐるメディア規制条項が削除され、投票権者の最低年齢も20歳から18歳に引き下げられるなど、一定進んできたことは認める。 しかし、過半数条項、公務員の国民投票運動へのかかわりへの制限のほかにも、改正の賛否に関する新聞、テレビなどの広告に法的規制をかける条項の妥当性が問われている。国民投票法案は国の行方を左右する憲法改正へ直結する法律であるのに論議は尽くされていない。このまま採決するのは反対だ。(上杉芳久)

『岩手日報』論説 2007年4月 8日
国民投票法案 冷静な審議できるのか
憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案が自民、公明両党から国会に提出され、審議が進められている。
修正案は▽投票の対象は憲法改正に限定▽投票年齢は原則18歳以上。選挙権年齢が引き下げられるまでは20歳以上▽3年間で選挙権なども18歳以上に引き下げ▽改憲案審議は3年間凍結−などが柱。 民主党と合意した内容をほぼ取り込んだが、国民投票の対象については民主党が国政の重要問題まで範囲を広げた一般的国民投票を主張したのに対して与党原案を貫いた。
また「公務員、教育者の地位利用禁止」については罰則なしとする一方、自公民3党で合意した国家公務員法や地方公務員法上の「政治的行為の制限規定」を「国民投票では適用しない」とする方針を転換し「適用除外」の条文を削除した。これらの案で与党は5月中の成立を期す構えだが、なお議論の余地を残す問題点がある。
どうする最低投票率
まず気になるのは、一定の投票率を下回った場合は投票無効になる最低投票率の規定がない点だ。一定の歯止めがないと国民の多数が賛否を明らかにしないまま、少数の有権者の賛成だけで憲法改正が行われてしまう事態が想定される。 衆院憲法調査特別委員会が3月末に開いた地方公聴会では与党推薦の陳述人が「国会での発議に高いハードルがあり、最低投票率を設ける必要はないのではないか」と述べたのに対して野党推薦の陳述人からは「少数の意思で憲法改正が行われてしまう」「議員の3分の2が賛成しても国民の意思は体現されない」などの意見が相次いだ。また改憲が成立する「過半数」をどう解釈するかも微妙な問題だ。与党修正案は「有効投票総数の過半数」としているのに対し「投票総数の過半数」などの意見もある。
メディア規制について、修正案では「テレビ・ラジオの有料広告は投票14日前から禁止」とされた。当初の与党案で出されたメディア規制は撤回されたが、日本新聞協会などは新聞などメディアに対するあらゆる法規制に反対する立場を表明している。憲法改正に関する公正で的確な情報を伝えてこそ国民の知る権利は守られる。
幅広い理解と支持を
安倍内閣は昨年9月の発足以来、タウンミーティングでのやらせ質問が問題になった教育基本法改正や防衛庁の省昇格などの重要案件を矢継ぎ早に手がけてきた。
後半国会では国民投票法案と教育改革関連3法案の成立を優先し、国民投票法案については与党単独でも13日の衆院本会議で通過を目指している。
なぜそんなに急ぐのか。夏の参院選を前に与野党が対決姿勢を強めているこの時期に法案成立を急ぐ理由はどこにあるのか。わが国の憲法は1947年の施行以来改正されていないが、常に論議の的となってきた。それだけにより冷静で慎重な審議が必要だ。
憲法九六条は憲法改正のために「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」と定め、通常の法律の制定や改正より条件が厳しい。
その意味でも改憲の具体的な手続きを定める国民投票法案は国民の幅広い支持が求められる。検討課題を残したまま、最後に数の論理で押し切っては国民の納得が得られるとは思えない。小笠原裕(2007.4.8)

http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200704110098.html
国民投票法案 「党利党略」ばかりでは ’07/4/11 中国新聞社説
 本当に採決の環境は整ったのか。与党は、憲法改正の手続きを定める国民投票法案の与党修正案の衆院通過を今週中にも図る構えだ。安倍晋三首相の今国会で必ず成立させようとする気負いには危うさを感じる。
 民主党は修正案をきのう国会へ提出した。国の根本にかかわる問題のうえに、双方の修正案には疑問点が残る。徹底的な審議が不可欠で、拙速を避けるべきだ。
 民主党の修正案は国民投票の対象として、憲法改正だけでなく、「憲法改正の対象になり得る問題、統治機構、生命倫理に関する問題」などと明記。憲法改正だけに限る与党案と大きく異なる。
 公務員の「政治的行為の制限」も運動をすることができるに変更、制限する与党案に対抗した。テレビなどの有料意見広告は与党案の「投票二週間前から禁止」に対し、民主党案は「発議から投票まで禁止」としている。情報操作を防ぐには禁止期間は長い方が望ましい。だが、メディアの自主規制に任すのがいいのか、意見は分かれるだろう。
 問題とされる最低投票率については民主党案も触れていない。憲法九六条に定める有効投票数の過半数の賛成で成立する。国民が投票することが第一なのだが、憲法の問題が国民のほんの一部の投票で決定する懸念は解消されない。
 民主党は与党と同法案の修正協議を進めていた。ところが安倍首相の今国会で成立させ、憲法改正を参院選でも訴えるとの表明から、対立が決定的になった。
 与党が統一地方選前半戦を乗り切り、法案の採決を先送りする理由がなくなったとする見方がある。参院選の争点にすることで、民主党内の分裂などを引き起こせる。勝てれば、国民の合意が得られたとして走れるとの読みがあるのか。民主党の修正案も、党内から与党案に賛成する「造反」を防ぐ戦術なのかもしれない。
 最重要の憲法問題が党利党略に使われているとしたら許し難い。
 審議は尽くしたと自民党役員は強調する。しかし、衆院憲法調査特別委員会が中央と地方で開いた公聴会では、与党推薦の公述人をはじめ、多くが法成立に向けた強引なやり方に危惧(きぐ)を示した。
 手続き法とはいえ、国民投票法案が可決、成立すれば、次の段階へ進むだろう。戦後日本の平和と繁栄に寄与した憲法を変えようと既成事実が重ねられていくのは、なんとしても避けたい。

http://www.shinmai.co.jp/news/20070411/KT070410ETI090002000022.htm
4月11日(水)信濃毎日新聞社説
国民投票法案 急ぐ必要はどこにもない
 憲法改正の手続きを定める国民投票法案をめぐり、対決ムードが高まってきた。与党は13日にも衆院本会議で採決する構えでいる。
 憲法論議の方向を左右する大事な法律である。参院選をにらんだ政局絡みで臨むのは望ましくない。与野党とも頭を冷やし、腰を据えて論議を深めるべきだ。自民・公明の与党案と民主党案との違いは、これまでの協議により、かなり狭まっている。▽投票年齢は18歳からとする▽法律が成立してから3年間は改憲案審議を凍結する-などが固まった。
 ここへきて対決ムードが高まった一因は安倍晋三首相にある。持論とする憲法改正に向け、国民投票法案を今の国会で成立させる意向を打ち出した。改憲を参院選の争点にする考えも示している。
 対抗するかのように、民主党の小沢一郎代表は与党との修正協議に消極姿勢に転じた。社民党など改憲に反対するほかの野党との共闘が念頭にあるとみられている。
 憲法改正は時々の政治情勢から一定の距離を置き、冷静に議論すべきテーマである。首相や小沢代表の姿勢は問題を残す。
 そもそも国民投票法案は、採決のタイミングを探らなければならないいほど中身が煮詰まっているのだろうか。答えは「ノー」だ。検討すべき点がたくさん残っている。
 例えば公務員に対する国民投票がらみの活動制限である。与党案に盛り込まれている条項の解釈によっては、大学の教師が講演会で意見を述たり、メディアの求めに応じて評論を寄稿することも制約を受けかねない。憲法が保障する「表現の自由」に照らし問題が大きい。
 与党案、民主党案の両方に盛り込まれているテレビの有料CM制限条項も、引き続き論議が必要だ。CM規制は表現の自由を損なう、とする見方の一方、カネに物を言わせた大量CMで民意がゆがめられる心配も否定しきれないからだ。
 最低投票率規定は必要ないか、投票年齢は18歳で本当にいいか、投票は改正の条項ごとか一括か…。こういった論点も未消化のままだ。
 憲法改正の発議には、衆参各院で総議員の3分の2以上の賛成を必要とする。国会が改正に向け動くときは、国民投票法も大きな支障なく制定できるはずだ。いま急ぐ必要はまったくない。
 共同通信社の最近の世論調査では、国民投票法案に「賛成」する人は半数以上を占めるものの、そのうち7割近くは「今国会での成立にこだわる必要はない」と答えている。国民の方がずっと冷静である。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-04-09/2007040903_01_0.html2007年4月9日(月)「しんぶん赤旗」
改憲手続き法案「国民望まず」 浮き彫りに 「安倍晋三首相らの前のめりの姿勢に危うさを感じる」(中国新聞三月二十九日)、「国民的な論議を深めるのは、これからではないか」(京都新聞同二十八日付)。改憲手続き法案の強行成立を急ぐ安
倍晋三首相と与党にたいし、地方紙が社説で次々と批判の声をあげるなど、国民が改憲手続き法案を望んでいないことが浮き彫りになっています。(藤原直)
拙速批判つぎつぎ
地方紙社説
◆「国民置き去り」
 「本来、冷静に粛々と議論し、その過程を国民に周知し、理解してもらうのが筋だろう。今、とてもそんな状態にあるとは思えない」(河北新報四月三日付)、「慌てる必要はまったくない」(東京新聞三月三十日付)。法案強行にむけた拙速審議を戒める声が次々とあがっています。秋田魁新報は「最近の安倍首相は、指導力と強引さをはき違えている」(三月二十五日付)と指摘、国民合意もなく四月中旬までの衆院通過をはかる与党の姿勢を批判しています。
 北海道新聞は三月二十五日付で、「国民の意思を直接問うための重要法案の審議が、このように国民置き去りで進められていいのだろうか」と疑問を呈し、与党単独採決も辞さない自民党の姿勢を批判。「期限を切らずに慎重な審議を続けてもらいたい」と要求しています。
◆法案の内容深刻
〈最低投票率〉
 与党と民主党の「修正協議で両案の相違は小さくなっているというが、両案の一致点、沈黙している点にこそ深刻な問題がある」。神奈川新聞三月十六日付はこう指摘して次のように書きます。
 「沈黙している大問題が、最低投票率である。国民主権の観点からすれば、低投票率のために極めて少ない賛成で改憲が成立するような事態は避けるべきだ。一定の投票率を超えなくては国民投票が成立しない仕組みが必要ではないか」
 山陽新聞も三月三十日付で、「最低投票率の制度も採用しておらず、仮に投票率50%なら四分の一の賛成で憲法改正が可能になる」と指摘しています。
 さらに、国民投票で改憲案の承認に必要な「過半数」について、法案が有効投票総数の過半数としていることについて、「最もハードルが低い」と指摘。「法案を細かく眺めると、改憲論者に都合よくできている」と批判しています。
 〈有料CM〉
 投票日二週間前までは自由とされる有料CMの問題でも、「資金力の多寡で改憲への賛否の広告量が不公平になる事態にどう対処するのか」(神奈川新聞)との疑問が投げかけられています。
 毎日新聞・大分版の支局長評論でも「日本経団連は改憲賛成を明言している。国民投票でも自民党を応援するだろう。改憲派が電波を買い占める事にならないだろうか」(三月十三日付)とのべています
。公務員の国民投票運動を規制する問題については、中国新聞が「公務員らをどこまで縛ることになるのかも不透明だ」と指摘しています。
 北海道新聞は、「公聴会は、単なる採決への通過手続きではない」と強調。公聴会で提起された最低投票率や周知期間の短さなど、論点を精査し直せと求めています。
◆世論とギャップ
 「肝心の国民はどう考えているだろうか」。中国新聞は三月十九日付社説で、共同通信社の世論調査では七割近くが「今国会での成立にこだわる必要はない」と答えていると指摘しています。
 社説は、「手続き法とはいえ、国民投票法案が可決されれば、憲法審査会の設置など次の段階に進むことになる。論議が十分尽くされぬまま、改憲へ向けた既成事実が重ねられていくことだけは避けたい
」と強調しています。
「必要なし」はっきり
世論調査
 産経新聞四月三日付の世論調査で「後半国会で最優先すべき課題は」との質問に「憲法改正手続きの確立」と答えた人はわずか1・9%。安倍首相が、最優先課題と力んでいるのに、あげられた八つの課題のなかで最下位です。最も高い課題は「年金・医療・福祉」の40・7%となっています。読売新聞(二月二十日付)の調査でも、「安倍内閣に優先的に取り組んでほしいもの」(複数回答)として「憲法改正」をあげた人はわずか6・2%。列挙された十七課題中、下から二番目という低さです。そもそも、九条改憲を国民が望んでいないことは明らかです。
 「読売」(六日付)の憲法問題世論調査では、九条について「これまで通り、解釈や運用で対応する」と「9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」をあわせて「改正」反対・不要が56%で、「改正する」36%を大きく上回っています。九条改憲のための仕組みづくりが必要でないことはこの結果からも明らかです。
審議時間は「郵政」の半分以下
 地方紙が指摘するように改憲手続き法案の審議はまったく不十分です。改憲手続き法案の衆院憲法調査特別委員会での審査時間は約55時間。郵政民営化関連法案が議論された衆院の特別委員会での約120時間の半分にも足りません。昨年の衆院の教育基本法特別委員会の約106
時間と比べても著しく不十分です。
 地方公聴会も、「政治改革」関連法案では、衆院特別委員会が全国10カ所で開催したのにたいし、手続き法案では、新潟と大阪の2カ所のみ。中央・地方の公述人・意見陳述者の合計も「政治改革」の74人にたいし、21人にすぎません。国の基本法である憲法に直結する法案をこんなわずかな審議で押し通すのは、議会制民主主義の軽視といわざるをえません。

http://www.asahi.com/paper/editorial20070407.html朝日新聞社説2007年04月07日(土曜日)付
国民投票法―与党だけで押し切るな
 憲法改正の是非を問う国民投票をどのような形で行うか――。そのやり方を定める国民投票法案をめぐって、与野党の対決ムードが高まってきた。 安倍首相は、憲法改正を自分の内閣で政治日程に乗せると明言している。今年1月には、7月の参院選挙で争点として国民の判断を問う考えまで示し、意欲をみなぎらせた。
 国民投票法はその機運を盛り上げるための欠かせない一里塚であり、この国会でなんとしても成立させる最重要法案という位置づけだ。与党単独でも衆院で採決する構えを見せている。
 法案の成立が政権の参院選対策の柱になるとしたら、野党が身構えるのは当然のことだ。政権側が意気込めば意気込むほど、この法案の審議は憲法改正そのものへの賛否と密接に絡み合ってしまう。
 この問題では与党の自民、公明両党と野党第1党の民主党が、2年前から議論を重ねてきた。憲法改正が政治争点化する前の静かな環境の中で、公正中立なルールを作ろうという発想だった。
 安倍政権の短兵急な姿勢はこの流れをひっくり返すものだ。
 国民投票法案は、単なる手続き法ではない。国のおおもとを定める憲法を変えるかどうか、その時に民意をどう問うかという極めて重要な法律だ。憲法改正と同じように幅広い合意をもとにつくるべきである。多数を握る政権が、目前の選挙への思惑などから突っ走っていい課題ではないはずだ。 憲法施行60年になるが、国民投票のやり方を定める法律はつくられなかった。それ自体が改憲への道を開く、とする護憲の世論が強かったからである。今回その法案づくりの話が進んだのは、憲法をめぐる世論が多様化していることを反映したものだろう。
 手続き法がないという不備はいずれ埋める必要はあるし、民意をどうはかるかという冷静な議論が衆院憲法調査特別委員会などで繰り広げられたのは意味のあることだった。
 自民党にすれば、すでに時間をかけて議論し、民主党案も一部とり入れて譲歩もしたということだろう。だが、露骨に選挙を絡めた首相のやり方は、そうした積み上げを台無しにしかねない。
 民主党にも、参院選に向けて対決を演出する材料にしたいとの計算が働く。党利党略がぶつかる不幸な展開だ。
 国民投票法案の中身には、何をもって過半数とするのか、最低投票率の規定を設けるかどうかなど、まだまだ議論すべきことがある。
 国民の関心自体も決して高くない。どれだけの人がこの法案について具体的な知識を持っているか、はなはだ怪しいものがある。
 このまま、与党だけで見切り発車するとなると、憲法をめぐる今後の議論に大きな禍根を残すことになる。冷静な環境のもとで、じっくり審議すべきだ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070405ig90.htm憲法世論調査 「改正」へ小休止は許されない(4月6日付・読売社説)
 憲法改正に意欲を示す安倍首相に対し、身構える民主党――その対決構図が国民の憲法観にも影響を与えている。
 読売新聞の3月世論調査で、憲法を「改正する方がよい」という改正派は46%で、非改正派の39%を上回った。この改正派優位は、15年間にわたって変わっていない。ただ、今年は改正派が昨年比9ポイント減った。3年連続のダウンだ。2005年10月、自民党は新憲法草案を決定した。その直後、民主党も「憲法提言」をまとめている。憲法改正の手続きを定める国民投票法案も、両党は昨年12月、大筋で合意にこぎつけた。安倍首相は、憲法改正を政治日程にのせる決断をし、今夏の参院選の争点に据える考えを示している。この一連の動きは、憲法改正の論議を加速させ、改正派の増加をもたらしていい。
 ところが、そうはなっていない。
 今回、各年代、各政党支持層で憲法改正派が減少した。特に民主支持層では、改正派が昨年比17ポイント減って41%に落ちている。過去、民主支持層は一貫して改正派が過半数を占めていた。
 民主党の小沢代表は、間近に迫った夏の参院選への政略的な思惑から自民党との対決姿勢を強めている。与党の国民投票法案に反対しているのも、参院選での社民党などとの選挙協力を優先する狙いからだろう。
 小沢代表はもともと改憲論者だ。党内には「護憲」を唱える旧社会党系の議員がいる。憲法問題で具体論に踏み込むと亀裂を生みかねない。それを避けるための改憲からの「逃避」姿勢が、支持層に跳ね返っているのかもしれない。
 一方、改憲の旗を掲げる安倍自民党にももろさがみえる。今回、自民支持層の改正派が昨年比10ポイントも減った。
 安倍内閣を「支持する」と答えた人の34%が、改正に反対している。首相は、国民に無用の不安を抱かせないためにも、憲法をどう変えたいのか、その具体的内容と手順を示し、自ら説得に努める必要がある。イラク情勢の混迷、北朝鮮による核実験強行、中国の軍拡など、日本と国際社会の安全保障環境は悪化するばかりだ。これらは、憲法の安保条項の整備などを日本の政治に突きつけている。
 1990年の湾岸危機での対応遅れを教訓にして92年、国連平和維持活動(PKO)協力法が成立し、これを機に国民の憲法意識は劇的に変わった。
 今日の国内外の情勢を踏まえれば、憲法改正作業は、休まず、たゆまず進めなければならない時代の課題だ。

http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2007/04/20070403s01.htm河北新報社説2007年04月03日火曜日
国民投票法案/政争の具にすべきではない 本来、冷静に粛々と議論し、その過程を国民に周知し、理解してもらうのが筋だろう。今、とてもそんな状態にあるとは思えない。
 党利党略が走り、政争の具と化しているのは、誠に不幸だと言わざるを得ない。自民、公明の両党は、憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案を衆院憲法調査特別委員会に提出、同委員会で審議が始まった。両党は、法案について、13日の衆院通過、5月中の成立のスケジュールを描いているようだ。安倍晋三首相が「戦後レジーム」からの脱却の大きな柱として、今夏の参院選の争点に「憲法改正」を掲げ、今国会での国民投票法案の成立を最優先課題としたためだ。法案の成立で得点を稼ぎ、参院選を有利に進める思惑があるのだろう。
 国民投票法案をめぐって民主党内に賛否両論があることから、揺さぶりをかけ、分断する狙いも見え隠れする。
 事実、民主は小沢一郎代表や菅直人代表代行らが民主党案を丸のみしない限り反対の姿勢を示す一方、鳩山由紀夫幹事長らは「中身には反対できない」と割れている。
 国民投票法案については、共産、社民両党が憲法改正につながるとして反対してきたが、与党と民主は合意を目指し、協議を続けてきた。
 それがご破算になるのは、与野党が激突する統一地方選や参院選と絡んでおり、法案審議に今は最もふさわしくない時期に当たろう。
 加えて、与党の修正案に、疑問や懸念される点も見うけられる。修正案は(1)投票対象は憲法改正に限定(2)投票年齢の18歳への引き下げ(3)改正は、有効投票総数の2分の1を超えた場合(4)両院に設置する「憲法調査会」での改憲審議は公布後3年は行わない(5)改正原案の発議は内容に関連する事項ごとに行う―などだ。
 このほか、公務員、教職員の地位利用による投票運動の禁止や、テレビなどの有料スポットCMの投票期日2週間前からの禁止などが盛り込まれた。
 疑問の第一は、最低投票率が示されていないことだ。憲法改正発議が衆参両院での3分の2以上というハードルが設定されており、最低投票率の規定は必要ないという意見もあろうが、仮に40%の投票率だと、5人に1人の賛成で決まってしまう。
 「国のかたち」を決める憲法の改正がそれでいいのかどうか、さらに議論する必要がある。
 第二は、投票は「関連する事項ごとに行う」とされているが、何と何が関連し、どう提起されるのかつまびらかでない。
 投票年齢の18歳への引き下げは世界的な流れであり、特に憲法改正が次世代に直接影響するから当然の対応だ。
 その一方、経過措置期間の3年間に公職選挙法はじめ、民法、少年法、喫煙や飲酒を規制する法律などの改正も必要だ。社会の仕組みを変えることになり、よくよく国民に浸透したか見極めなければならない。

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2007033002004559.html【社説】国民投票法案 議論ゆがめる党利党略2007年3月30日中日新聞
 慌てる必要はまったくない、という私たちの主張は変わらない。憲法改正手続きを定める国民投票法の与党修正案が衆院の特別委員会で審議入りした。参院選にらみの思惑先行では議論もゆがむ。
 自民、公明の与党は四月十三日の衆院本会議可決、続く参院の審議を急ぎ、六月下旬までの今の国会での成立を目指しているという。
 衆院の圧倒的多数に加えて与党は参院でも過半数の議席を持つので、審議が順調ならば成立はほぼ確実だとされている。
 審議入りした修正案は、与党が昨年五月に独自の法案を国会に出した後、民主党との協議を重ねて合意した幾つかの論点をベースにする。
 公職選挙法の改正などを前提に投票権年齢を十八歳以上とするとか、投票日前のメディア規制といった項目で民主党の主張に譲る一方、民主との共同提案を断念したのに伴って公務員の活動規制を復活させた。投票の対象も改憲に限定した。
 審議の舞台である衆院憲法調査特別委が中央と地方で開いた公聴会では、公述人の多くが強引な運びに懸念を示している。与党推薦の人でさえ拙速を戒める意見陳述をしているのをみても、生煮えのまま議論を進めてよいのかと懸念する。
 今国会で絶対に成立させると気負うのは安倍晋三首相だ。年明けから改憲を参院選の争点にすることを表明して国民投票法の成立を「戦後レジーム脱却」の柱に据えている。
 「首相在任中の改憲」を公言する手前、これがその一里塚、という思いなのだろう。が、奇妙なのは、改憲派の論客からもこの投票法案に慎重な意見が出ていることである。
 与党が目標とする衆院通過の日程は統一地方選の知事・道府県議選などが投開票された後だ。公明の嫌う選挙期間を外して、次はいよいよ参院選へ向けた野党の分断。とりわけ参院の与野党逆転を狙う民主を揺さぶるのに、賛同者の少なくない投票法案の採決を格好の材料にする-。
 こんな憶測が信ぴょう性を持つ。事実なら露骨な党利党略に大事な憲法問題を使うことになる。首相や与党幹部の見識を問うておきたい。
 もとより憲法をめぐる論議は、いたずらな党利の思惑を排して進められるべきである。手続き法などを国政選の直前に争点とすること自体、違和感を持つ人も多いはずだ。
 私たちは改憲が国会で発議されるような場面では、改憲テーマにふさわしい手続きもおのずと合意可能になると考える。異論はあろう。それも含めて議論に時間をかけるのは、けっして無駄なことではない。

http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2007/03/30/2007033008105013001.html
2007.3.30山陽新聞社説
国民投票法案 問題点多すぎる改憲路線
 衆院憲法調査特別委員会で、憲法改正手続きを定める国民投票法案与党修正案の審議が始まった。今国会の最重要法案と位置付ける安倍政権は四月中旬の衆院通過、今国会での成立を目指している。
 昨年五月提出の与党案に民主党案の一部を盛り込んだ形で、自民、公明両党の合意により今週初めに与党修正案として国会に提出された。投票年齢は従来の与党案の「二十歳以上」を「原則十八歳以上(当面は二十歳以上)」とし、投票方式は○×の自書式から投票用紙に印刷した「賛成」「反対」のどちらかを○印で囲む方式にした。
 なぜ十八歳以上なのか、自書式をやめたのか。しっかりした説明が欠かせない。
さらには法案は投票を「関連する事項ごとに区分して行う」としているが、「関連」の範囲があいまいだ。
 賛同を得やすい環境権創設などと賛否のある憲法九条などを一緒に扱えることになれば、民意が正しく反映されないことになりかねない。国の根幹をなす憲法であれば、できるだけ事項を区切って賛否を問う仕組みにする必要がある。個別テーマでの投票を基本に考えるべきだ。
 憲法改正の成立ラインの問題も大きい。憲法九六条は、国民投票で必要とする「過半数」の定義をしていない。法案は有効投票総数の過半数とした。有権者総数の過半数、無効票を含む投票総数の過半数など考え方がある中で、最もハードルが低い。一定の投票率を下回れば国民投票を無効とする最低投票率の制度も採用しておらず、仮に投票率50%なら四分の一の賛成で憲法改正が可能になる。
 メディアに関しては、テレビなどの有料意見広告(スポットCM)を投票期日前の二週間、禁止した。与党の従来案の七日間から延長した。メディア側の反対論は退けられた。意見表明の自由に対する規制は論外であろう。
 民主党案では憲法以外の国政の重要事項も扱うとしていた国民投票の対象は、憲法改正に限定した。現行の代議制を補完し、国民の意思決定の幅を広げる点からも国民投票の対象についてはなお検討する必要がある。
 憲法については国内にさまざまな考え方や議論が渦巻いており、どこをどう直すかはもちろん、改憲の是非自体にも幅広い合意が形成されているとは言い難い。
 国民投票法案を細かく眺めると、改憲論者に都合よくできている。安倍晋三首相は法案を成立させた上で憲法改正を参院選の争点にする考えだが、問題の多い法案の成立を急いではならない。

http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070328/shc070328000.htm産経新聞(2007/03/28 05:26)
【主張】国民投票法案 改憲へハードル越える時
 自民、公明両党は、憲法改正の手続きを定める国民投票法案の修正案をまとめ、国会に共同提出した。国民投票は憲法第96条に「その過半数の賛成を必要とする」などと規定されている。憲法制定時に整備されねばならなかったが、施行以来、60年近く放置されてきた。この違憲の疑いもある立法の不作為を与党が是正しようとしていることを率直に評価したい。
 法案が問題を抱えていることは否定できない。与党が民主党の主張を大幅に取り入れた結果である。だが、憲法改正を実現するためにはやむを得ない判断といえる。安倍晋三首相はこのハードルを乗り越えない限り、任期中に憲法を改正するという約束を果たせない。憲法改正は各議院の3分の2以上の賛成で国会が発議する。自民、公明、民主3党がまとまらなければ、発議すら画餅(がべい)に過ぎないからだ。
 民主党が与党修正案に賛成するかどうかははっきりしない。安倍首相が憲法改正を参院選の争点にすると言明し、国民投票法案の今国会成立に意欲を示していることへの政治的な反発があるからだろう。
 ただ、3党は昨年末、実務者ながら共同修正案をまとめた。投票年齢を18歳以上にしたのは、与党が民主党の主張に歩み寄ったためだ。投票の対象についても、与党が憲法改正に限定としたのに対し、国政の重要課題にも広げようと主張していた民主党は、「将来の課題として国会で議論する」ことを条件に足並みをそろえた。民主党執行部がこうした経緯を無視して、法案にブレーキをかけているのは遺憾だ。
 今回、与党がまとめた修正案はほぼ共同修正案を踏襲している。国民投票の対象は憲法改正に限るが、付則で「一般的国民投票は中長期的な検討課題」に挙げ、配慮をにじませた。
 共同修正案を再修正したのは、「公務員の政治的行為の適用除外」を削除したことだ。公務員の政治的中立性を担保するために必要な措置だが、刑事罰は設けないことにした。教育者の地位利用も同じ扱いだ。これで「公正なルール」が確保できるかどうか。
 これらの問題は、与党と民主党が国会で協議し、よりよい投票法案を制定することで解決するといえる。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070328k0000m070142000c.html毎日新聞社説 2007年3月28日 0時37分
社説:国民投票法案 政局絡めず合意を目指せ 国民投票法案の与党修正案がまとまり27日国会に提出された。与党は単独でも衆院通過を目指す構えで、このまま可決する可能性も出てきた。
 憲法改正について国民が直接、判断を示すための手続きを定めたのが国民投票法案だ。国民主権にかかわる重要な法案であり、野党抜きや混乱状態の中での議論は避けなくてはならない。
 その点からも与党単独の修正案になったことは、残念だ。与党と野党第1党である民主党は党利党略を排して、最後まで合意形成を目指すべきだ。
 与党は投票年齢について「20歳以上」を修正し「18歳以上」にした。これは民主党案に譲歩したものだ。一方、投票対象については憲法改正に限定し、他の重要問題も対象にする民主党案を退けた。
 「18歳以上」は私たちもかねて主張してきた。憲法に対して若い世代からの声を反映させることに国民も異論はないはずだ。
 付則では公職選挙法や民法など関連法制の整備を求め、整うまでは「20歳以上」と規定した。だが、喫煙、飲酒年齢など多くの法律が関連し、社会的な影響も大きい。与野党の利害を超えたきめの細かい議論が必要になる。
 投票対象を憲法改正に絞ったのは、立法の趣旨から言っても妥当だろう。手続き法の論議はそもそも憲法に規定される「改正条項」からスタートしている。
 一般的な国民投票の導入は、代議制の根幹にかかわる。付則で「検討を加え、必要な措置を講じる」としている。地方では住民投票が行われており手続き法とは別途に議論を深めるべきだ。
 投票日2週間前からの有料のテレビ・ラジオの広告放送を禁止した。これは「表現の自由」の観点からも問題がある。
 自由な憲法論議のためにはメディアへの規制はすべきでなく、基本的には放送側の自主的なルールに任せるべきだ。
 与党と民主党が共同修正に至らなかったのは、双方が憲法と参院選挙を絡めてしまったからだ。
 安倍晋三首相は憲法改正を参院選の争点にする意向を示した。自民党内には法案提出で選挙前に民主党内の賛成派と反対派を分断しようという狙いもあるのだろう。
 一方、民主党内には、国民投票法案の成立は安倍首相の得点につながるという見方もある。法案に反対する社民党との選挙協力の観点から法案に賛成しにくい事情もあるだろう。
 本来なら与党が野党も乗りやすい環境を作り、協議を働きかけるのが筋だろう。自民党はアピール効果を狙って、いったんは憲法記念日までに成立させるという方針を立てた。しかし、それは理屈に乏しく挑発的だった。
 民主党もこのままでは反対のための反対と受け取られかねない。
 法案成立までには詰める点が多い。政局絡みの思惑で最重要法案が左右されるのは、国民にとって不幸なことだ。まだ遅くはない。ぎりぎりまで合意への努力を怠るべきではない。

http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20070325az
(2007/03/25 10:59 秋田魁新報)
社説:安倍政権 半年 強気の陰に危うさ漂う 安倍政権があす26日で、発足から半年を迎える。折しもこの日に、新年度予算が参院本会議で成立する見込みだ。
 安倍晋三首相は自らの政権運営に胸を張りたいところだろうが、「ちょっと待った」と言いたい。半年前に華々しく掲げた「美しい国」の実像が、さっぱり見えてこないのである。
 呻吟(しんぎん)する国民の生活をどうするか、顕在化しているさまざまな「格差」を具体的にどう是正していくのか。こうした喫緊の課題に道筋をつけず、ことさら自らの政治課題に強気で突っ走る「若きリーダー」の姿に、国民の多くが漠然とした危うさを感じ始めてきたのではないか。
 それが支持率の低下につながっている。発足当初の65・0%が、最近は40%を割り込んだ事実は何を意味するのか。安倍首相はこの際、じっくりと考えるべきである。
 就任直後こそ、電撃的な中国と韓国への訪問で両国との関係を修復軌道に乗せた安倍首相だったが、それ以降は「失点続き」と言っていい。
 まず、成長重視路線を旨とする安倍首相が自ら政府税調会長就任を主導した本間正明氏が、官舎への不適切入居問題で辞任。佐田玄一郎行革担当相も政治資金の不適切処理が発覚して辞任に追い込まれた。柳沢伯夫厚生労働相の「女性は産む機械」発言は、もはや論評に値しない。世の大反発を招きながら首相が罷免しなかったのは、柳沢厚労相も辞めれば任命責任を問われ、安倍内閣の存亡にかかわると判断したからだろう。要するに、世論より内閣の保身を優先させたと受け止めざるを得ない。そうした姿勢は、事務所費問題で一層強まった感がある。不透明さを指摘されながら、詳細を明らかにしようとしない伊吹文明文部科学相や松岡利勝農相に対して、首相は前向きに動こうとしない。
 とりわけ光熱水費問題も発覚した松岡農相をかばうのは、どうしたことか。是々非々を貫く政治家本来の信念、潔さが、残念ながら全く感じられない。最大の問題は、時間がたつほどに強引な手法が際立ってきたことである。昨年の臨時国会で改正教育基本法を与党の力ずくで成立させたが、いま振り返れば序の口に過ぎなかった。
 新年度予算案の衆院通過は、野党の反対を押し切って半ば強行する。昨年の11議員に続く郵政造反組の自民党復党も、「盟友」というだけで強引に決めてしまう。理不尽極まりなく、これだけでも噴飯物である。そして憲法改正手続きを定める国民投票法案の今国会成立に向け、4月中の衆院通過を図る方針という。ここでも国民合意の基に事を進めようという態度が見えてこない。
 もしかしたら、当初は「顔が見えない」「指導力がない」と指摘されたことで開き直ったのだろうか。最近の安倍首相は、指導力と強引さをはき違えているとしか思えないのである。
 指導力なら、「政治とカネ」の問題や公務員制度改革で発揮すればいい。国民の素朴な疑問に真正面から向き合う姿勢こそ求められていることを、安倍首相は肝に銘じるべきだ。

改憲

Posted by 中の人