ゲレンデを捨てて野に出よう

2025年9月20日

週刊金曜日9号(1994.1.14)貧困なる精神9より引用。

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・音楽であれ絵であれ芝居・映画であれ、それらを「観賞」するよりも自分で創る側になるほうがおもしろく(略)・・というと「へただから」とか「才能がないから」とかの口実で「創る」ことを最初から投げている人がいるけれど、この喜びは「へた・うまい」や「才能」などと全く関係ありません。
・とくにクロスカントリーのような「主として歩きまわるスキー」の類とか、大自然のすべてをそのままゲレンデとする山スキー(スキー=ツアー)であります。(略)本来はこれが「普通のスキー」であり、実は「これだけしかなかった」のです。リフトやロープウェイが延々と連なり、ひどいところは高速道路みたいに斜面を整備した環境破壊ゲレンデにおけるスキーなど、むしろこのほうが異常であり、奇形化した「不幸なスキー」とさえ言いたい気がします。
・これに対しゲレンデはどうでしょうか。もともと全斜面が人工的に「整地」されたり改造されたりしている上に、多くは植民地的音楽による拡声器公害の騒音で一切の「野性の叫び声」は抹殺され、めったにない「拡声器公害のないスキー場」でもリフトのまわる音が自然をぶちこわし、そこで滑る「多数」は、初心者であろうがなかろうが世界選手権大会にでも出場するときのアルペン選手なみの服装とスキー道具で、なかにはルールも作法もなしの非常識スキーヤーのおかげで負傷する例も少なくありません。
・クロカンで楽しんでいる姿はほとんどが外国人(この場合は西洋人)ばかり、日本人はみんなゲレンデに行ってしまう
・一定以上の水準に達したら、うまくなくても確実にさえなったら、ゲレンデを出て山野を出あるくようにしませんか
・コクド(西武系)をはじめとする環境破壊企業が、ゴルフ場とセットにしてすすめているカネモウケのための箱庭で、必要もないのに流行に踊らされたスキーウェアに身をかため、拡声器騒音に充満するリフトに次々とのせられて、ベルト=コンベアの製品のように運ばれてゆく。企業がほくそえんでいる風景。からめとられた籠の鳥。
—-(引用終わり)
引用記事の著作権は『週刊金曜日』および本多勝一さんにあります。
クロスカントリースキー