週刊金曜日179号 1997.7.18目次,日米防衛協力(ガイドライン)見直しを見直す

2025年9月20日

週刊金曜日179号 1997.7.18目次
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P9 日米防衛協力(ガイドライン)見直しを見直す 手続きなき改憲発動 纐纈厚
有事立法の総仕上げ迫る「新ガイドライン」
・ガイドラインの正式名はウォー・マニュアル
日本政府が「ガイドライン」と称する「日米防衛協力のための指針」は、実は軍事上の日米共同作戦を展開していくために必要不可欠な「戦争教範」に他ならない。実際米国ではガイドラインのことをウォー・マニュアルと呼んでいる。言葉のすり替えで本質を覆い隠そうとする日本政府の意図は明らかである。
自衛隊は1993年秋に憲法9条を否定した「交戦規則」(ROE)を作成。今回の新ガイドラインは作戦領域を明らかに国外に設定したものという点で質的に大きな飛躍がある。
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P10新ガイドラインは、日本の「周辺」で起きた「有事」に対し、日米両国が一体となって軍事的に対処することを確約、適用範囲の拡がりと日米軍事体制の深まりが、憲法9条で禁止されている『集団的自衛権の行使』に行きつくことは明らかだろう。
「改憲なき実質改憲」と呼ぶしかない事態がいま、強行されようとしている。つまりこの国では憲法よりも日米安保条約のほうが、上位規範なのだ。
・憲法を骨抜きにする新ガイドライン
米国側が強く求める「後方地域支援」では、民間の空港・港湾施設、あるいは物品や役務への提供が、強制措置として準備されうことが最大の問題だ。有事体制の構築を射程に据えた「戦時受け入れ国支援協定」(WHNS)の実現が目論まれている。
・危機管理論と連動する有事体制
「平和」国家から「軍事国家への質的転換」が、ガイドラインの見直し作業のなかで推し進められている。危機管理論が蒸し返され、ガイドライン見直しと、政府・防衛庁が進めている有事法整備の動きが完全にドッキングしている。
P11・その背後に日米の軍産複合体
「日米安保産業フォーラム」などで連携を深める日米の軍産複合体
ガイドライン見直しによる有事体制の構築は、自衛隊の海外派兵を許し、軍事力の行使を「安全保障」の手段として採用することを内外に宣言するに等しい。
自衛隊・防衛庁を中核に据えた高度な軍事的中央集権体制が、市民生活のすべてを統制、管理、動員のシステムに閉じ込め、閉ざされた社会を招く。憲法改定問題、靖国問題、教科書検定、戦争責任などが、これらの体制構築を理由に抑圧される可能性が大きい。
非軍事的な手段による国際紛争解決のために、すべての人びとに共有可能な運動や思想を構築すること。
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P12自衛隊は何をさせられるのか 前田哲男
「日本周辺地域」では、他国艦船の臨検、機雷の除去、非戦闘員の安全地域への退避活動などが「日米共同指令部」的な機構の下で実施できること。また、周辺地域で第三国と交戦する米軍に対し「後方地域支援」という任務が新設、自衛隊基地と民間施設を活用した戦闘支援活動の基盤構築が明記された。仮想敵が「ソ連から中国」へ転換したことを反映。
・安保助役における3つの同心円
アメリカは地球全体に出動、「極東の範囲」に行動を限定できない。ベトナム戦争、湾岸戦争の際、日本の基地を足場に出動した。
P13・なし崩しの累積と歯止め
政府見解から導き出された安保運用に関する日本川の基本原則
1)日本が侵略されたときのほか武器をとらない
2)自衛隊は国土の外で戦うことはない
その政策が、「集団的自衛権の禁止」や「海外派兵の禁止」であり、米軍の駐留区域、出動区域への無制限展開を規制する
「事前協議制度」の確立だった。
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P14 1963年の「三矢研究」では、朝鮮有事が想定されるなか、ストライキ禁止や言論統制を含む87件に及ぶ有事立法が想定されている。
・あいまいな「周辺事態」の新概念
新ガイドラインに安保条約にはない「周辺地域」という新たな地理的概念が登場する。「我が国へはね返ってくる重大さ」によって決定される範囲で、あらかじめ線引きできない。米軍が出動するとき、自衛隊も協力を共にする。
・「日米軍事ドクトリン」への変質
「周辺事態における協力」の要件に、岸信介首相が述べた国連憲章違反の事実や、国連決議は求められていない。安保協力は、「両政府の認定」(もしくは米のみ)で発動される仕組みになっている。
ガイドライン見直しは、これまで政府が辛うじて保ってきた「憲法と安保」両立論に、終止符を打つもの。集団的自衛権不行使と海外不出動こそ、命綱だったからだ。
安保・米軍・自衛隊
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裏表紙 軍国時代のニッポン 飛田勘弐 現代史
「流言蜚語」も言論統制下の国民には数少ない貴重な情報源だった。特高、憲兵、隣組の監視。
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