現代の治安維持法・共謀罪 週刊金曜日2005.7.15
何もしなくとも話し合えば処罰される前代未聞のこの悪法は、誰が何のために必要なのか。その背後には、戦時体制確立を狙う政府の黒い意図がうごめいている。
山下幸夫弁護士に聞く
昨今、ビラを配っただけで逮捕される事件が相次いでいますが、そうした動きと無縁ではないと思います。去年あたりから、有事立法など「日本が有事にどうするか」という法律が成立し、日米共同の戦争を想定した法制度がどんどんできている。そこで、特に戦争に反対する人たちに対する何らかの治安立法が必要であると見込んで、共謀罪が登場してきたことは間違いないでしょう。
狙いは労組と市民
-どのような団体が、弾圧の対象になるでしょうか。
特に労働組合が、真っ先にターゲットになるでしょう。現行法上でも、労働組合が正当な争議行為としてやっだと思っても、そして労働法上認められている行為であっても、監禁だとか、威力業務妨害で摘発される例が珍しくない。そうすると、「これからどのように労働運動をやっていくか」といった打ち合わせの場がストレートに共謀の場とされ、そこに参加しただけで「共謀した」として摘発される恐れがある。しかも破防法と違い、団体の定義がきわめて曖昧で非常に広い。だからごく普通の合法的な市民団体も含め、何でもすべて適用範囲になってしまうでしょう。しかも、すでにいつでも共謀罪が適用できる素地ができてしまっている現実があるのです。
- それは、どういうことですか。
山下 日本では「共謀共同正犯」が認められています。つまり、何もしなくても共謀だけすれば、別の共犯者が実行した際に同じ責任を負うというもので、法律に規定はないのですが、裁判所が判例上認めている考え方です。今まで共謀と言うと、たとえばAという人間とBという人間が話し合って、「これを一緒にやりましょう」と言葉で明確に話し合うことがイメージされました。ところが最近の「共謀共同正犯」というのは、言葉を交わさなくてもいい。阿うんの呼吸と言うか、まったく言葉を交わさなくても成立するんですよ。 ー警察の一存で犯罪者に (略)
-でも、誰が「共謀があった」事実を判断するのですか。
山下 事実として話し合ったかどうかではなくで、人間関係とかそういうことから、「共謀したに違いない。総合的に判断して、共謀しても不自然ではない」と裁判所が判断するだけでいいのです。しかも恐ろしいことに、ここ一〇年ぐらいでどんどん暴力団以外に労働組合にまで適用範囲が広がっています。最近関西の労働争議絡みでそうした事件があり、書記長や幹部が「共謀共同正犯」ということで逮捕され、裁判になっている。人間関係から「こいつら話し合ったに違いない」と警察が見なして直接の行為者以外の者まで縄を広げ、それを裁判所も認める傾向が強い。具体的に何かやったわけではないけれども、共謀があると言われ、それで逮捕されて事件になっているという例がいまどんどん広がっています。
- すると、極端な話、共謀罪の場合でも、共謀した事実がなくとも、警察がそう見なしただけで逮捕できるのですね。(略)
運動を萎縮させる
そうなると、国家から見て何もしなくとも「この人は今の社会で危険だ」という判断がすべてになります。政府に反対しているかとか、労働組合が使用者に反対しているかとか。そうなると、憲法で自由が保障されている思想・信条に関わる部分が重視されてくる。犯罪という結果がないのですから、やった行為ではなく、まさに思想そのものが処罰されるのです。これが、ものすごく恐い。
(略)
ー弾圧の手口も変わってくるでしょうね。
(略)当然、盗聴も確実に拡張していくでしょう。
ーー(引用終わり)著作権は週刊金曜日にあります。 #共謀罪


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