週刊金曜日 135号 1996.8.23 目次、南京大虐殺を「なかった」ことにしたい勢力が、必死で利用する裁判の判決(下)
P5不二越一審は希望ある敗訴いざ控訴審へ 栗林佐知 戦争中不二越で働かされた韓国人3人は賃金を受け取っていない。
富山地裁判決は原告側の事実関係の主張を認め、「賃金は支払い済」という不二越側の主張を退けたのだ。
P21南京大虐殺を「なかった」ことにしたい勢力が、必死で利用する裁判の判決(下)
渡辺春己 吉田裕 笠原十九司 藤原彰 本多勝一
文芸春秋が「マルコポーロ」を廃刊にした。一方で南京虐殺は翌年「諸君!」でまだ否定している。しかもその当の編集長を今度は朝日新聞が招いた。この歴史認識のムチャクチャ。
本来、廃刊するなら「諸君!」ですよ。自分たちの国のやった侵略や大虐殺を全否定したんだから。
日本人はナチスのユダヤ人迫害を批判して、アンネ=フランク展とかユダヤ人のガス室展をしますが、日本ではまだ南京大虐殺の大規模な展示はできない。
南京大虐殺をテーマにしたドラマ・映画・劇もない。日本で深刻な状況は、マスコミを中心として南京大虐殺を否定する3つの構造があること。1つは改ざんまでする田中正明など完全否定の論。次は「虐殺過少評価」で、あったけれども大したことなかったという層。いちばん多いのが否定論と過少評価に引きずられて、否定論にもそれなりの論拠があると、自分は公平なつもりで考えてしまう層。今まで明らかになった研究成果をまともに検討しない。
正当な研究とサギ師を足して2で割っている。
ドイツの場合は、ナチの責任を問わなければ国際社会で生きられなかった。日本はアメリカのカサの下で反省なしでぬくぬくと生きてしまった。
P22 公平とは何か。本多さんが「中国の旅」を書いたのは、これまで日本側の視点ばかりで書かれてきたので、中国側の視点を取材した。そうしたら「あれは公平でない」という反応があった。
・資料、史料もダメなものはダメ
ごく一部のおかしい写真があったからといって、この大虐殺の事実を否定できないけれども、無批判にいろんな物を並べると、右翼が押しかける。
南京大虐殺のうそについて被害関係者が直接抗議しない、というよりできない。中国の核大国脅威論を含めて「中国は怖い」という論調で、被害者の証言をまったく無視する、ということを否定派は意図的に流している。藤岡信勝。
南京事件をめぐる研究状況の1つの特徴は、加害の問題を重視する市民運動の展開と研究の進展が並行して進んだ。市民運動に触発されるかたちで、従軍兵士の証言や日記がたくさん出てきた。これだけ様々な事実が明らかになって、事件の存在そのものは正面から否定できなくなっている。
否定論のもう一つの特徴は、最後のより所として、数の問題にこだわるようにしている。今は南京大虐殺の事実を否定できなくなった人たちが、数の問題が怪しいから南京大虐殺も怪しいという論理にスリかえている。
・イカサマ師と同列に並べられる悲劇
東京12chは、渡部昇一が「新世紀歓談」で放談に近い無責任な否定論をやっている。 まだ日本では否定論がこれほどある。肯定論だけの論理は紹介できないという方法で、「南京大虐殺の事実」を直視しようという側をはじくために公平論が使われている。田中正明と笠原十九司を並べて、藤原彰と板倉由明を並べて。事実論を抜きにした公平観や議論など意味がない。
・大虐殺の数について
従来は埋葬記録、80年代後半以降戦闘詳報、従軍日記、陣中日誌等々の加害者側の記録に残された数を積み重ねてある数が出る。もう一つは、中国の南京防衛軍の数が具体的に分かってきた。
いちばんの問題は日本側の正式な陣中日誌、史料の発掘・公開が大いに遅れている点。南京攻略戦に参加した部隊の3割弱しか陣中日誌や戦闘詳報が公開されていない。日本側の陣中日誌がすべて公開されれば、全体像がかなり分かる。
P24 あと問題は、南京大虐殺が起こった範囲をどうみるか。南京城内とする見方もあった。南京大虐殺事件は日本軍の南京攻略戦に伴って発生、城内と城壁周辺の農村も含めるべき。農村の資料が遅れている。農村の民衆の被害が記録に残らない。
笠原氏が1995に書いた「南京難民区の百日」(岩波書店)。
時期、日本軍の南京攻略戦開始から占領した期間。現在の研究状況では20万人かそれ以上の中国軍民が犠牲になったと推定できる。
もっと実証を積み重ねていかなければならない。16師団、13師団の山田支隊は最近出てきたが、相当かかわっている第6師団、第114師団、第9師団、これらの史料はほとんど出てきていない。もう一つ中国側、沖縄県のように村々の調査をしっかりやれば相当数がはっきりする。
時間と空間の問題はかなり大きい。南京占領から1カ月以上の新年になっても南京市内だけで相当虐殺されている。南京陥落後しか数えない、城壁に囲まれた以外は入らないとか。
軍関係の資料だと、軍の中央軍の史料が出ていない。日中戦争時の陸軍省軍事課長だった田中新一の業務日誌が全面的に公開していない。否定派が公平なら、自分たちの部隊、加害者の史料を全部明らかにして議論すればいいのに、全部隠している。
もっとひどいのはだんだん隠す。731部隊や細菌戦問題で井本日記や金原日記を随分使った。結果不都合なことが出て、この日記を隠した。もうひとつ収集の努力。小野さんがやった仕事はたった1つの連帯、歩兵第65連隊。それであれだけの日記が集まった。全体で18の歩兵連隊がいるから、参加した兵隊が日記を残している。それから陣中日誌・戦闘詳報の類。




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