「戦争」というマスコミ用語にだまされてはならない
事実とは何か(本多勝一 朝日文庫P70~78)から引用,1972年春記。
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戦争に反対する。戦争が悪の根源である。戦争をなくそう。二度と戦争にならないように。息子を戦争に狩りだされまい……。
こういった表現が、いまの日本の良心的市民のあいだで、何の疑問もなく使われています。(中略)
「なにもかも『戦争』のせいにするんだったら、ベトナムに侵略した米軍に対して抵抗する解放勢力の戦いも、侵略軍の戦争と同列に『悪い』ことになってしまうじゃありませんか。悪いのはあくまで『侵略』であり『帝国主義』『軍国主義』であって、その結果としての『戦争』という現象を悪いというのは、本質をはぐらかす侵略者側の発想ですよ」
(中略)強盗に押し入ったのは、合州国政府の側であって、ベトナムが合州国に強盗に出かけたのではない。ベトナムが強盗された側であるのは疑問の余地がありません。(略)「悪いのは格闘だ。ケンカが悪いのだ」と解説する馬鹿さ加減・・(略)。悪いのは「格闘」自体ではない。強盗に押し入った行為が悪いのであり、強盗自身が悪いのです。強盗の側が一方的に悪い。強盗に入られた側の抵抗は、100パーセント正しい。
では「悪いのは戦争だ」とする思考法は、どういう結果をもたらすか。(中略)すなわち、「悪いのはアメリカ合州国政府でもなく、帝国主義でもなく、侵略でもない。「戦争」が悪いのだ。「人間が生み出した最大の怪物、戦争にこそ、悪の根源があるのだ。だから、悪の根源は、侵略でもなく、帝国主義でもなく、軍国主義でもなく、アメリカ合州国政府でもない。だから、合州国政府代表のニクソンは、ホー=チ=ミンやファン=バン=ドンと同じ程度に悪く、従って同じ程度に正しい。「戦争」さえよせばいいのだ。侵略はよさなくてよいし、帝国主義や軍国主義もよさなくていい。(中略)悪の根源を、侵略や、侵略の背景としての軍国主義や帝国主義に求めずに、「戦争」に求めるやりかたは、ニクソンを大変喜ばせることになる。大放送も大新聞も、今後このようなやりかたを続けてゆくでしょうが、私たちはこうした教育にうっかり乗せられないようにしたいものです。そのためには、侵略された側をどう考えるかといった視点を、常に持ち続ける努力を忘れないことだと思います。(後略)
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「戦争」の悲惨さ、残虐行為のみを追っていても、ことの本質を見誤るのかな。とりあえず今後「戦争」という言葉は使わず「侵略」に置き換え考えようと思う。


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もし日本が強盗にあったらどうしますか?
もし日本が暴力を背景にしたゆすりたかりにあったらどうしますか?
それをアメリカがやるかもしれない。中国かもしれない、ロシアかもしれない。
そのときどうしますか?
http://www.valras-plage.net/brick-muscle/
本多勝一 週刊金曜日 応援、侵略を考えるサイト 2006年10月