週刊金曜日36号1994.7.29棄てられた皇軍兵士 補償を求める台湾の元軍人・軍属たち、霧社事件、「バターン死の行進」第3回

2025年9月19日

2023.7.24記
36号目次
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P44 「バターン死の行進」を行進する第3回 パンティンガン川の虐殺から逃れて 鷹沢のり子
(写真)フェリックスさん。右わき腹に傷が残る。
・虐殺がはじまった
 日本兵は日本刀をもって列の後ろに立ち、左から兵の首を順番にはねていった。首がはねきれなかった兵は苦しそうにうめき声をあげた。
 フェリックスさんの場合はいきなり突き刺された。日本兵は疲れていたのかもしれない。フェリックスさんはそのまま声を出さないように唇を硬くとじた。
・日本軍の魔手から逃れて
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 (写真)背にも残る日本刀による傷
・生きてマニラに帰る
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2022.12.26記
棄てられた皇軍兵士,週刊金曜日1994.7.29 NO36号P15より引用。
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写真・文 伊藤孝司
補償を求める台湾の元軍人・軍属たち
P16-17 支配され続けた台湾
 台湾は、中国大陸から漢民族が渡ってくるまでは、原住民族たちの島だった。(略)
一八九四年からの日清戦争の結果、翌年に結ばれた下関講和条約によって、日本は清国に台湾を「割譲」させた(注4)。(注4)今年は日清戦争開戦から一〇〇年にあたる(1994年出版当時)。帝国主義国日本の領土拡張は台湾から始まり、日露戦争での樺太の領有と遼東半島の「租借」、朝鮮への植民地支配、第一次世界大戦での「南洋群島」の委任統治などと続いた。
(中略)講和条約が批准された四月以降、日本軍への執拗な武装抵抗が繰り広げられた。これに対し北白川宮能久親王の率いる「近衛師団」は、無差別殺薮と強姦を繰り返した。全島を武力制圧した一〇月までに、人口約二六〇万人のうちの一万四〇〇〇人以上もの人々を虐殺したのだ。

隠れた歴史-霧社事件
 このような状況下で、原住民族のタイヤル族のうち、台湾中央部の山岳地帯にある霧社(社とは台湾の最下級の行政単位のこと)に住む三〇〇人が、頭目のモーナ・ルーダオに率いられて武装蜂起をし、日本人一三六人を殺害した。一九三〇年一〇月二七日のことだった。これに対し「総督府」は、大砲・横間銃・毒ガスまで使って報復しただけでなく、生き残った人々を蜂起に参加しなかった原住民族に襲わせて、一五歳以上の男性を皆殺しにした。こうして、蜂起に関係のあった一〇〇〇人近くの人々が殺されたり、自殺に追い込まれたのだ。
 日本は中国大陸への侵略を進めるために、中国大陸から渡ってきたたくさんの漢民族が住む台湾の統治を成功させる必要があった。そのため「総督府」は、「皇民化」という同化政策を本格的に進めるようになる。台湾人を異民族として支配するよりも、「天皇の赤子」にして侵略戦争に加担させようとしたのだ。そのために日本語使用、日本名への改姓名、神社参拝を強要し、学校では「教育勅語」を教え、新聞の漢文欄を廃止し、伝統的な音楽や宗教行事を禁止した。

P18強引な動員
 軍属の方は、一二万六七五〇人(厚生省発表)にもなるが、実に様々な形で集められている(注10)。
(注10)軍専用の性的奴隷(いわゆる「従軍慰安婦」)にされた台湾人女性たちは、だまされて戦場の「軍慰安所」に連れていかれたが軍属待遇だった。ちなみに、被害女性たちを「従軍慰安婦」と呼ぶのは正しくない。日本軍によって受けた被害実態からすれば、「日本軍専用性的奴隷」だった。拙著『破られた沈黙』に、その詳しい説明と台湾人被害女性四人の証言がある。

たとえば原住民族だけで組織された「高砂義勇隊」は、軍属でありながら戦闘にも参加させられた。連合国軍捕虜の監視のために集められたのは「仔虜監視員」である。この中からは戦後の「BC級戦犯」裁判で、日本が負うべき戦争責任を押しつけられて一七三人が裁かれ、二六人が処刑されている。

P24知らされなかった申請受付
日本政府による弔意金・見舞金申請の受付は、九三年三月三一日までの五年間行なわれ、約二万八四〇〇人に約五八七億円が支払われた。ところが、原住民族で交通の不便な地域で生活している人の中には、受付が行なわれていることが伝わらず、期限内に申請できなかった人たちがいる。これについて日本政府は、六月二二日の参議院内閣委員会における「台湾戦後処理議員懇談会」事務局長の板垣正議員の質問に対し、申請期限の「延長を考えていない」と答えた。
(中略)台湾の元軍人・軍属の補償要求は「一緒に戦った日本人と同じ補償をしてほしい」ということだけである(注1 6)。(注1 6)日本政府は日本人の元軍人・軍属には、軍人恩給・遺族年金・戦病者医療・被爆者医療などで年間約二兆円を支出している。
ところが日本政府は「国籍条項」を設け、台湾・韓国の元「日本兵」たちは日本国籍を喪失しているから補償はできないとしているのだ。(後略) ー以上引用終わり
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親日的と言われる台湾人に対してこの対応。戦後補償は全く終わっていない。ほったらかし、生存者が亡くなるのを息をひそめて黙殺している日本政府。中東へ自衛隊派遣する金があるならまずはアジア諸国の補償が先だと考える。